MASTER HOUSE SALON/海外インテリアブログ


工 素子(たくみ もとこ):
ミラノにてプロダクト・インテリアデザイナーに師事。イタリアデザインのみならず衣食住についても勉強中!


河合 妙子(かわい たえこ):
フォトグラファー&ライター。西・仏・英・中の4ヶ国語OK!トレドを拠点に、スペインの情報を発信します。

最近のエントリー

カテゴリー

過去のエントリー

ガイドブックに載ってない!スペインの凄さがわかる建築物[b_kawai]

みなさん、こんにちは。

今回は、トレドから車で1時間程度の場所にある、
日本のガイドブックには載っていない穴場を特集したいと思います。

ひとつ目は、現在92歳になるフスト・ガジェゴさんが、50年以上も建設し続けている渾身の大聖堂。
ふたつ目は、オロペサという村にある、国の重要文化財を始めて利用したパラドール(国営ホテル)です。

では、早速ご案内いたしましょう。

(1)フスト・ガジェゴさんの大聖堂「カテドラル・デ・フェ」

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

若い頃から、修道院で神父になる修行を積んでいたフストさんは、
31歳で結核にかかり、神父になることを断念せざるをえませんでした。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

しかし、神を信ずる心は高じていきます。
建築の知識はおろか、設計図を書くことすら知らないというのに、
親から譲り受けた土地に、わずかな全財産をつぎ込んで大聖堂を作り始めました。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

使用している素材は、自転車のタイヤ、石油のドラム缶、レンガ工場が廃棄処分したレンガや廃材など、
普通の建築家ならまず使用しないものばかり。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

お世辞にも美しいとは言えない、とっても不思議な大聖堂なんです。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

最初は恐る恐る、中へ入ってみたのですが、中を歩き始めると、
感動とも感銘とも言い難い気持ちがこみ上げてきます。

ただただ、巨大なガラクタを作り上げた圧倒的な精神力と、諦めない力に
だんだん魅了されてくることに驚きました。
「人生を生き抜くとは、こういうことなのかな?」と、
自分の生き方を見直したくなる気持ちにかられました。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

下手でもいい、誰にも認められなくてもいい。
自分が信じたこと、自分の心がやりたいと思っていることに耳を傾け、
それをやり抜くことが大切なんだと、言われているように感じたのです。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

他人が評価してくれる、おしゃれなもの、きれいなもの、高価なもの。
そんなものには目もくれず、興味も持たず、必要ともせず、
ひたすら自分の心の奥の奥に隠れた、正直な声だけを聞き続けて生きる。
それはとても難しい技だと思いませんか?

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

「そうやって生きていくと、やがて、巨大なものを作り上げている自分に
出会えるんだよ」と、教えてもらったような気持ちでした。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

黙々と目的に向かって廃材を積み上げていく彼の人生は、
多くの人の心を打ち、有名なメーカーのテレビコマーシャルに起用されたり、
テレビのドキュメンタリーが制作されたりと、知名度も上がり、
資金も集まるようになっていきました。

もちろん、そんな資金は全て大聖堂作りへ。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

フスト・ガジェゴさんは、「マドリードのガウディ」との異名も持っているのですが、
ガウディはプロの建築家でしたから、ちょっと違うと思います。

むしろ、誰もやらない、やろうともしない大きな挑戦に、奇想天外な方法で
果敢に挑むその心意気に、現代のドン・キホーテを見た気がしました。


(2)オロペサ城と、騎士の館のパラドール。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

ドン・キホーテといえば、ラ・マンチャ地方の村々を相棒のサンチョ・パンサと
共に馬で旅する騎士の姿が思い出されます。ラ・マンチャ地方にあるこの城は、
まさに、本物の騎士や公爵たちの人生の舞台となった場所です。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />


オロペサ城は、元来、古代ローマ時代の建物を基礎として、アラブ人が作った城。
それを、十字軍で中心的な活躍をしたサンチャゴ騎士団の団長だった
騎士ガルシア・アルヴァレス・デ・トレド氏が当時の王から譲り受けたのが、1355年。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

それ以来、スペインの歴史にとって英雄となる人たちが、
ここを舞台に華麗なる歴史絵巻を描いてきた、由緒ある城なのです。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

1926年に国の重要文化財に指定されたオロペサ城の敷地には、現在、
パラドールとして使用されている、この地の旧家、デ・トレド家の館が建っています。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

この館で1515年に生まれたフランシスコ・デ・トレド伯爵は、医者となって
南米のペルーにわたり、病院を建てたり、現地の人々を暴君の圧政から守ったりと、
八面六臂の大活躍をしました。

その一方で、のちに広くヨーロッパの学者たちに愛読されることになる
植物辞典をラテン語で編纂するなど、医学と文学に通じたスケールの大きな学者だったのです。

小説ドン・キホーテが書かれたのは、その100年後に当たる、1615年ですから、その先駆となるような、騎士の鏡とも言える偉大な人物像が目に浮かびます。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

彼が子ども時代を過ごしたその館は、19世紀に起きたナポレオンに対する独立戦争や、
20世紀前半のスペイン市民戦争でダメージを受けましたが、
「中世博物館」も兼ねるパラドールとして、現代によみがえりました。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

内部には、公爵や騎士たちがアラブとの戦争の勝利と終結、
そして平和な世の到来を祈ったであろうチャペルも、当時の雰囲気のまま残されています。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

旅人を不思議な感傷に導く、フスト・ガジェゴさんの大聖堂。
そして、壮大な人生を駆け抜けた騎士たちの心と歴史を感じる美しい城と館。
美的観点においては正反対ですが、どこか似たところがあるように思います。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

両者に共通するものは、
自分に嘘をつかず、力の限り生き抜くという姿勢かもしれません。

ガイドブックに載っていない!スペインの凄さがわかる建築物<br />

車ならトレドからオロペサまで1時間で行けますが、なんと、オロペサからポルトガル国境の
バダホスまで約1時間半、リスボンまでたった3時間という近さです。

そんな環境の場所で、素敵な旅ができないわけがありません。
スペインへ行くなら、ガイドブックの楽しい旅も堪能しつつ、
このような場所もそっと訪れて、騎士たちの心に思いを馳せてみては、いかがでしょう。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.interblog.jp/bizmt/mt-tb.cgi/1189

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)


PAGE TOP