MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

子どもを健全に育てる住まい[question]

子どもの凶悪犯罪は一向に減る様子がありません。この原稿のプロットを作った日の夕刊にも両親殺害の容疑で15歳の少年が逮捕された記事が1面トップで掲載されました。

健全に子どもを育てる住まいの研究は建築学や住居学のテーマであり、古くからいろいろ研究されています。バブルがはじけ、ライフスタイルが多様化する中で、これからの時代に見合った子どもを健全に育てる住まいのあり方を考えてみたいと思います。

●犯罪を起した子どもの住まいの共通点
凶悪犯罪を引き起した子どもの住まいには下記のような特徴があるそうです。設計のいろはが守られていない点がほとんどですが、これからの時代を踏まえて注目したいのは、リビングと主寝室の機能です。

0623.jpg・玄関から親の顔を見ずに子ども室に出入りができる
・子ども室から直接外に出入りができる(離れ等も含む)
・子ども室が親の寝室から離れている
・リビングルームが子ども室から離れて、かつ団欒の場として機能していない
・窓が遮光カーテンや荷物等でふさがれている=外界と遮断
・夫婦の寝室が貧弱、コミュニケーションの場として機能していない
新潮社「危ない間取り」横山彰人著 より

●創造の場としてのリビング
今までは子ども室=勉強部屋、リビングダイニング=食事と団欒、主寝室=夫婦の寝室と比較的単純に考えられてきたと思います。しかし、これからは大人も勉強しなければ脱落していく時代です。共稼ぎ世帯も過半数を超え、子育て中の専業主婦も再就職のためにはスキルの維持や向上に努力しなければなりません。

当然住まいのあり方も変化しなければならないはずです。リビングの一角や寝室近くに共用のスタディコーナー等を工夫し、その家族に見合った共に学ぶ住まいのあり様は子どもにも良い影響を与えるように思われます。

創造の場を必要としている社会状況の1例として…
・レールの無い競争社会を生きる子ども達
・スキルアップしないと脱落していく社会人(昇進試験・競争激化)
・開業準備やリストラなどに備えたリスク管理のための週末起業・サイドワークなどが増加
・ライフスタイルの多様化

●気配りを大切に
家を建てようとする方のお宅を訪問すると、どの家も一様にソファーセットなるものがリビングのスペースを大きく占めていました。配置も「さあ団欒しましょう」スタイルです。でも、「さあ団欒しましょう」で団欒できるものではありません。まして実情は食事の時間帯もまちまち、1億層中流とはいかなくなり、大人も子どもも時間に追われています。

0623_1.jpg外国のホームドラマなどをよくよく観察すると、子ども室はさほど広くありませんが、リビングは格段に広く、あちこちに椅子とテーブルでコーナーができています。思い思いのコーナーでそれぞれ違うことをしながらも、家族を意識しているのが分かります。子どもの健全な育成には、この「気配り」が大切です。大家族の子どもほど幸せだといわれています。昔の日本の住まいは襖で仕切られ開放的にできていましたが、現代の住まいのスタイルの中で新しい「気配り」を作りだす工夫を考えてみます。

・画一的な家具セットではなく、家族がそれぞれ思い思いに時を過ごせる
 家具の配置、コーナーの工夫
・呼べば返事ができる子ども室の位置や解放的な空間
・共通の勉強部屋・図書室・パソコンルームなど

●夫婦の単位がしっかりしている
これからの時代は、夫婦の単位が果たす役割がより重要になっていきます。何事も自己責任が追求され、皆と同じでなく自分の判断を下していくことが求められる時代です。このような時代に主寝室は夫婦の話し合いの場として今以上に機能する必要があります。それなりの広さも必要で、子ども室は最低限にしても主寝室の充実を図りたいものです。夫婦の基盤がしっかりしていれば、子どもは幸せです。また、子育て後は親の老後のためにも子どもを独立させ、資金の貯蓄を考えましょう。

子ども室が子ども室として機能する必要があるのは、極わずかの年数です。家はまず夫婦の為のものと考えるのが、かえって子どもを健全に育てるポイントのように思います。

住宅メーカーの営業の第1戦で、年間200組程度もの顧客と接してきた経験から、家づくりに成功する方々にはある特徴が見出せます。「自分の人生設計がきちんとできていて、自分という人間をしっかり把握している」事と、「夫婦の単位がしっかりしている」事で、不思議に例外がありませんでした。明確に住まいに対する希望が伝わってきて、設計に全精力を注げます。そして、そうした家族は、接していて「素敵な家族」「子どもとしての分をわきまえた素直な良い子どもたち」「接していて暖かい気持ちになる家族」と感じられる家族でもありました。
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