
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q:共有名義の解除方法をご教示願います。(解除条件、手続き等)
A:抵当権の有無や解除する状況により、適切な解除の方法や手続きが違います。ローンの有無や税金など、注意点を考えてみましょう。
不動産は高価な財産なので、登記することでその保全を図ります。従って共有となっていた財産の名義を移転する場合は、登記を書き換えることになります。不動産も他の全てのものと同様に、譲渡の方法は売買、贈与、相続しかありません。個人のものを個人が自由に処分することは、なんら制約がありませんので、双方合意していれば、解除する条件は特にありません。但し、売買、贈与、相続の行為には常に税金が関与します。その方法によっては手続きの順序や税金などに違いが生じます。
●考えられる共有名義解除の理由の例
・妻が出産・育児などで専業主婦となるなど、片方がローンの支払いを続けられない場合。
・離婚の際に住まいを売却せずに、片方が住み続ける場合。
・本来の拠出額に応じた持分となっていないケースを是正する場合。
・親子や兄弟で共有していたものを、結婚などで現実の利用状況などに応じて持分を買取る場合。
など
共有名義の持分の移転理由は、この他にもいろいろあると思いますが、相続は別として、一般に離婚の際の財産分与、売買、贈与の順に税金面では有利です。親からの贈与は相続時精算制度の利用も考えられますが、対象者の条件もあり、一旦この制度を利用すると、従来の制度の利用ができなくなるなど、慎重を要します。
●共有名義の解除方法
ローンの設定がなく、名義移転の際にローンを借りない場合…物件のある地域の法務局出張所に出向いて、所有権移転の登記の手続きをします。個人でもできますが、通常は司法書士に依頼するのが無難でしょう。法務局出張所周辺には司法書士の事務所がたくさんありますので、気軽に相談してみてください。売買の場合は、買取る資金の出所を明確にすることが大切です。離婚時の財産分与や結婚20年を超える夫婦間の居住用財産の贈与以外の贈与は、贈与税がかかります。
抵当権が設定されていたり、ローンを借入れたりする場合…名義を解消する側にローンが設定されている場合は、ローンを完済する必要があります。最初にローンを設定している銀行に相談ください。ローンを完済し、抵当権を抹消したうえで、名義変更を行います。共有分を買取るなどで、新たにローンを借り入れる場合は、全ての手続きを同時に行うと良いでしょう。銀行と提携している司法書士が全て行ってくれます。ローンが関与する場合は、まず銀行に相談してみましょう。
●参考事例
親と共有名義のマンションで親の持分を親から時価で買取った時の例です。手続きの流れが分かると思います。
「親の持分はわずかでしたが、本人が家族と共に専有して住むことになったため、もともと大半は本人の名義でもあり、本人のローンも含めて充分に支払えましたので、自分だけの財産として確保しようと思いました。買取り額や支払い条件を書面にした契約書を作成し、双方所持。きちんと利子も設定しました。つまり親から住まいを分割払いで買取ったことになり、手数料はかかりますが、実際に毎月きちんと親の口座に振り込み、約束より早く5年で完済しています。売買による名義の変更登記は司法書士に依頼せずに本人が自分で行い、登記費用やわずかですが、親の持分を買取ったことによる不動産取得税も追加で支払っています。借りたお金は親からでも、利子をつけてきちんと返済することは銀行を儲けさせるより合理的です」。
基礎控除範囲内の贈与を組み合わせて借入金を少なくしたり、書面だけで実際の支払いはせずに、実質贈与を受けたりするケースも世の中にはあると思います。少しでも無駄なお金を支払わない配慮も大切ですが、親や夫婦でも財産は、きちんとした社会的約束事通りに運び、必要な費用や税金はきちんと支払うことが、問題を複雑にしない重要な点だと思います。
共有名義についてのご質問は、他にも下記の通りお寄せいただきました。それぞれに回答していますので参照ください。
2005年3月9日「夫婦共有名義で住宅を購入する際、注意する点はありますか」
2005年5月4日「妻のローンを夫が負担したら」
2005年7月6日「夫婦別々のローンを借り替えて、夫に一本化するときはどうする?」
2005年8月11日「夫婦共有名義と贈与税」
2005年9月15日「離婚時の夫婦共有名義の精算」

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コメント (2)
結婚の際、共有名義でマンションを購入しましたが、私は退職して無収入だった為、頭金のみを出し、夫が債務者となりました。(持分比率、夫16/17、私1/17)
マンション購入時、法務局や銀行の手続きは全て夫が単独で行いましたが、現在、離婚の協議中の為、心配になり銀行に問い合わせた所、私は連帯保証人にはなっていないものの、共有名義者としての実印を押印している為、火災保険の担保提供者になっているとの事でした。
調停や裁判での法律的な財産分与の考え方によると、我が家の場合、売却価格よりローンの残債の方が多い為、ローンの残債を折半し、離婚後に私がマンションを出ても、債務は背負わなければならないと聞きました。
しかし、夫は頭金を全く出しておらず、離婚後も婚姻中のマンションを売却せずに住み続けると主張しているので、私ばかり頭金やローンの残債を支払わされるだけで何もプラスになる事が無いのでは納得がいかないのですが・・・
もし、協議で離婚を決定させ、財産分与は行わない事をお互いに納得した上で、離婚届を提出する前に名義変更を行えば、私は債務を背負う事から免れる事ができるのでしょうか?
それとも、離婚届の提出後でなければ名義変更はできないのでしょうか?
離婚前後に何とか私がマンションの債務を負わされずに名義変更を行う方法、及び、名義変更の際、気を付けなければならない事が有れば教えて頂けないでしょうか?
宜しくお願い致します。
追伸:名義変更の際は、法務局や銀行に必ず私も同行し、確認した方が安全ですよね?
投稿者: nori | 2006年02月08日 15:25
日時: 2006年02月08日 15:25
住宅の共有名義が本人(ヒロシ)が3/5、親が2/5となっています(固定資産)。
離婚することなり、妻と子に土地・家を渡そうと思います。
(慰謝料の代わりとし、協議離婚とするため)
共有名義の 親→本人 の変更
名義の 本人→妻 の変更
手続き・方法は、どの様にしたら良いでしょうか?
投稿者: ヒロシ | 2006年01月15日 18:58
日時: 2006年01月15日 18:58