
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q:気に入った物件があり、住宅購入の契約をしようと思うのですが、何か注意点はありますか。
A:住まいは大きな買い物ですので、だれでも緊張します。信用できる取引先であることが第一ですが、これからは信用して全てを任せる時代ではありません。いくつかポイントとなる契約時の注意点をあげてみましょう。
契約書に署名し実印を押す時は、だれしも感慨もひとしおの様子です。しかし、感慨ばかりに浸ってはいられません。「契約」の重みを事前に自覚し、自分でできることは、労力を惜しまないで丹念に確認していなければ、契約と同時に不安が募ってきます。
●契約書・契約内容の事前の確認
事前に契約書の書式を入手…契約の調印時に契約書を初めて見て、約款内容を完全に把握できる方は少ないでしょう。ひとつの条項が契約全体を左右する場合があります。私は契約の際は事前にお客様に契約書の書式のコピーを渡していました。お客様には熟読し、一字一句不明点は前もって質問するように、念を押すというより、厳命に近いかたちで伝えていました。また、契約書に記載する数値や内容を確認書の形で文字にして、やはり事前に渡していました。契約をスムーズに行う意味合いもありますが、経験上お客様の意識を高めたほうが、その後の工事段階などを通じて、はるかに良い相互関係が築き上げられるからです。
司法書士の立会いのもとに契約…費用はかかりますが、契約行為に不安がある場合は司法書士に内容を事前に確認してもらって、契約にも立ち会ってもらう方法もあります。登記の際には、司法書士に依頼するのが普通なので、契約の段階からお願いすることも可能でしょう。
●手付金
手付金の性格…手付金は通常は「解約手付」とされています。契約の履行に着手する前は、買主は手付金を放棄し、売主は手付金の返却に加えて同額を買主に支払うことによって、契約を解除できるとするものです。支払う時は、手付金の性格を確認しておきましょう。
手付金の保全措置…宅地建物取引業法で「手付金の保全措置」が定められています。売主は、未完成物件については売買価格の5%、完成物件については10%を超える手付金を受取った場合は、手付金等の保全措置を講じなくてはなりません。その保全内容を記した保証書が買主に手渡されます。
●契約書で重要な項目
契約書は双方の約束事ですので、さまざまな契約書があっても不思議ではありませんが、一般的な重要項目をピックアップしてみましょう。
瑕疵担保責任…新築住宅の場合は、下記の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で瑕疵担保責任が定められていますが、中古住宅の売買の時は、隠れた重大な欠陥があった場合の契約の解除や、賠償請求ができる項目が必要です。
危険負担(民法第534条)…例えば契約締結後、引渡し前に物件が延焼などで消失した場合はどうなるでしょう。民法上は、建物がなくなっても買主は売主に売買代金の全額を支払わなければなりません。買主にとって、土地とローンだけが残る形になってしまいます。したがって通常の売買契約は、特約によってこうしたケースは売主に負担条文が追加されるのが一般的です。この条文の有無のチェックは重要です。
●住宅の品質確保の促進等に関する法律
新築住宅の売買の場合は平成12年度より、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が制定され、売主は引渡し時から10年間は構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、民法で定める請負人と同様の責任を負う事が定められました。この10年の責任期間は、契約で20年まで延長できます。
●その他の知っておいたほうが良い法律
消費者契約法…申し込みや承諾の取り消し、無効となる契約条項の内容等が定められています。事前に目を通しておくことをお薦めします。
住宅性能表示制度・住宅完成保証制度・住宅性能保証制度・既存住宅保証制度…該当する利用制度があれば、内容をしっかり確認しておきましょう。
その他、新築住宅、中古住宅いずれも、契約の際はきちんとした設計図書を入手することが肝心です。工事中の写真などがあればそれも手に入れます。とにかく建物を建てるために作成した全ての図書を入手するのが理想的です。木造住宅以外は構造計算書も必要です。後々のリフォームなどの際に役立つだけでなく、何か不具合が起きた時の原因追求に役立ちます。
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