
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q:親と2世帯住宅にするか迷っています。いずれは親のスペースを自分が相続したいのですが、兄が相続する財産がなくなるので反対されています。相続をどのように考えればよいでしょうか。税金はどのくらいでしょうか。
A:老後の親の面倒をみる負担は、どうしても2世帯住宅に住んでいる子供に大きくかかります。親の扶養について、親や兄弟としっかり話し合っておきましょう。相続財産を分配する必要がある場合で、親の金融財産がない時は、自分の固有財産(金銭を含む)を代わりに渡す「代償分割」と言う方法もあります。
相続税問題というと、節税や相続資金対策などが取りざたされますが、相続税は基礎控除があるうえに、居住用財産の評価は低く抑えられています。そのために、実は日本人の中で相続税を支払う人の比率は約5%程度といわれています。残りの多くの方にとって相続問題は、円満な分割協議が最大のポイントなのです。特に日本人の財産は居住していた土地家屋が大きな比率を占めますので、それでなくても小さな土地を、さらに分割する困難が待ち受けています。
●相続税の基本の基本
夫の遺産を妻と子供2人が相続する場合で、相続税の仕組みを考えてみます。
基礎控除…5000万円+1000万円×法定相続人の数→夫の遺産を妻と子供2人が相続する場合は8000万円が基礎控除額です。
法定相続分…妻1/2、子供各1/4、遺留分はそれぞれの法定相続分の1/2です。
配偶者の税額軽減措置…配偶者の相続額が遺産額の1/2(法定相続分)以下、または1億6千万円以下の場合は、配偶者の税負担はありません。
居住用財産の評価…土地の評価は路線価×土地の面積で算定し、家屋は固定資産税評価額が評価額となります。夫が居住していた宅地を妻が相続した場合は、240平方メートル(小規模宅地)までは評価額が20%となります。実に80%の減額です。妻以外が相続した場合に小規模宅地の特例が適用できるケースは、細かな規定があります。2世帯住宅の一方に居住していた子供が、もう一方を相続する場合にも適用可能な場合があります。
●2世帯の種類
一口に2世帯住宅といってもいろいろなパターンがあります。どれを選択するかによって、その後の利用価値や相続のあり方が大きく違います。
完全分離型…玄関も含めて完結した機能を持つ住戸が2つあるケースです。上下階に分離する場合と並列する場合があります。建物の構造にもよりますが、区分所有登記が可能な構造です。各世帯は規模が同じとは限りません。後々の活用を考えて、片方をアパート仕様などにする場合もあります。
共有スペース型…形は完全分離型に近くても内部でつながっていたり、予備室を共有していたりするケースです。改修などで完全分離できる構造であれば、完全分離型と同じように利用価値が高まります。
設備・玄関共有型…玄関、キッチン、浴室などのいずれか、あるいは全てが共有の型です。メインの設備がない世帯には、簡易キッチンやシャワーがあるケースも含みます。
完全同居型…単にメインとなる世帯に、親や子の世帯の居室や寝室があるケースです。
下記に述べる相続方法などを考えると、2世帯は完全独立型か、容易に完全独立型に改修できる構造であると、後々非常に応用が利く事がわかります。
●2世帯住宅のあり方と親の居住部分の活用
売却…いずれかの子供、または孫などに売却し、その資金で老人ホームなどに入居。この場合、居住用財産はなくなりますので、その他の財産のみが相続対象になります。
賃貸…賃貸住宅にして、老人ホームなどに入居。老後の生活資金や相続分割資金に。
居住を継続 1 …親はそのまま居住し、いずれかの子供に相続させる。片方に居住していた子供が相続し、他の子供に相続する財産が他にない場合は、代償分割も可能。
居住を継続 2 …親が2世帯分全ての資金を提供。子世帯は家賃を支払う。→兄弟で平等に相続可能。
最近の住宅は耐用年数も長く、また高価な投資です。家族構成や世帯の変遷を見越して、資産としての活用範囲を考えておくことが必要です。
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