
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q:完成した建売住宅ではなく、工事過程を確認できる注文住宅や売建て物件を希望していますが、工事などの進捗確認などに自信がありません。もちろん信頼できる会社を選びますが、それでも大きな資産ですので万全を尽くしたいと思います。素人でも可能な方法はありますか。
A:仮に5000万円の物件の購入を考えているとします。諸費用やローンの金利分などを合わせれば、7000万円~8000万円の投資にならないとも限りません。工事のポイントをいくつかあげておきます。自分の労力と専門家の活用で、大きな投資に対するリスク軽減をはかりましょう。
●自分で立ち会う場合のポイント
工事の前半に重要な工程が集中しますので、この時期にチェックを集中させましょう。ここでは建物の構造的性能面のポイントを紹介します。
1.基礎や骨組み(基礎・地業・地下構造物)などの構造体を中心にチェック
2.基礎と土台、柱と梁などの取り合い部分を確認(補強金物)
3.性能維持に大きく影響するものをチェック(防水・断熱・防蟻など)
4.詳細図や標準仕様書などで金物の位置と種別を確認できる図書をまず入手しておく
地業・基礎等 (盛土・掘削・地下室・擁壁・杭・地盤改良・基礎等)…できれば設計士等にセカンドオピニオンを求めましょう。設計監理もこの部分は必ずチェックすべき箇所ですので、許可されれば立ち会ってみるのも良いでしょう。通常の地上にある基礎であれば、さほど危険も無く、図面の読み方のレクチャーを受ければ、所定の補強が無い、鉄筋の間隔が違うといった違和感も分かるかもしれません。
1.配筋や見えなくなってしまう部分の工事写真は、必ず撮影します。建替えの時に擁壁の耐久性等の参考になります。
2.着工前の隣接宅の状況写真撮影は必ず行ってください。隣家の損傷等が着工前からのものか、工事によるものかを判断するときに必要です。
3.基礎に限らず、コンクリートの配筋・アンカーボルトの位置・深さ・高さ・巾等詳細にチェックします。
防蟻処理…防蟻対策は様々な方法がありますが、シート状のものは隙間が少しでもあると効果がなくなるものがあり、施工性が重要です。
骨組み…この部分も基礎まわりとともに、チェックが難しいポイントです。ボードなどで構造材が隠れてしまわないうちに、しっかり確認します。
1.梁・柱・耐力壁等の主要材のサイズと位置・材質
2.筋交いや火打ち等の補強材の位置と取り付け方法
3.金具や釘の本数・形状・取り付け方法
断熱材・防水材…断熱材は隙間なく取り付けられているか。防水シートは充分な重なりを設けているかをチェックします。
クロス…クロスは一度張ってしまうと、部分修復するわけには行きません。クロスが張られる前に、コンセント、照明の位置や取り付け金物等の位置をチェックしておきましょう。
●工事現場での注意事項
原則、代金を支払って、引渡しを受けるまではまだ施主のものではありません。危険でもあり、許可無くては内部に入ることはできません。
工事現場のルールを守る
1.事前に工事監督と確認箇所と日程の打合せをします。
2.工程表を入手し、現場確認のおおよその日程を確認します。
3.工事資材には保管方法のルールがあるので絶対に触れてはいけません。壁紙やカーペットのロールは手をついたり、腰掛けたりしては使い物にならなくなるので注意が必要です。
5.現場確認は、必ず工事監督立会いと指示のもとに、ヘルメットの着用等工事監督の指示に従います。
6. 現場で気づいたことは、必ず直接工事監督、または設計監理担当者に伝えましょう。職人に連絡するのは禁物です。
現場は危険がいっぱい!
1.無用な子供連れで見学しない。工事現場は、子供にとって面白い物がいっぱいありますが、とても危険です。
2.服装を選び、ヘルメット着用等監督の指示に従います。
●記録を残す
記録は後々の貴重なデータ
1.後々のメンテナンスに役立つ
2.トラブルが発生した時の根拠になる
3.売買時の性能評価に役立ち、記録が無いより高く評価できる
4.新築時だけでなく、リフォーム・補修等の記録も全て残しておく
記録を残すポイント
1.可能な限り新規に作成された図書は詳細も含めて入手します。もちろん工事のチェックに必要ですが、全て入手しておく方が後々役に立ちます。
構造計算書・構造図・確認申請図書・仕様書・仕上表・展開図・詳細図・矩計図・電気図・給排水図など。
2.工事中の写真はできるだけ多く撮っておきます。事前に、撮って欲しい段階と箇所を着工前に伝えておきます。工事会社によっては工事写真を記録してくれるところもありますが、欲しい部分は念を押しておくと良いでしょう。建物の構造上大切な地盤・基礎・骨組み等が撮影の重要ポイントです。
●効果的なセカンドオピニオンのポイント
専門図面を片手に現場のチェックは不安も多いでしょう。工事費の1%程度をセカンドオピニオン用の費用としてあらかじめ用意しておくことがおすすめです。下記のような事項をチェックしてもらいましょう。
1.物件の立地や将来価値、問題点の有無など
2.契約前の図面のチェック
3.上記の工事チェック事項
信頼している会社であっても、自分でできることを精一杯行うことが、リスクを減らす最大のポイントです。
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