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FPコラム:自分で考えよう!「本当のバリアフリー」[question]

「バリアフリー」という言葉で、何を連想されるでしょうか。「段差なしの床」「手すり」などが、一般的な連想でしょう。

誰もが必ず年を取り、大なり小なり足腰が弱くなっていき、今までできていたことが次第にできなくなっていきます。誰も避けることができない宿命です。かといって、「転ばぬ先の杖」として、単に平らな床にしたり、手すりを取り付けたりするだけでは、いざその時になってあわてることになります。

「バリアフリー」は、なにも高齢者だけに便利な仕組みではありません。高齢者に快適であれば、誰にでも快適であるはず。そこから本当の意味でのバリアフリーという考え方は出発します。


●何のためのバリアフリー?

病気やケガなどによる障害に対するバリアフリーは、当然ながら個別の対応となります。そして誰もが通過する加齢による症状も、実は人さまざまなのです。将来、自分がどのような部分が不自由になるかは分かりません。夫婦でも違います。

では、バリアフリーとは何でしょうか。「段差なしの床」「手すり」は基本としても、「何のために」を再確認することが、当たり前すぎて忘れがちですが、大切なことなのです。

バリアフリーとは何か…とあらためて考えてみれば、「高齢になっても、できるだけ長く・自立した・快適な生活を維持する」ための工夫、これに尽きます。さらに言えば、「介護してもらいやすい」…も加わるでしょう。

一つ一つの生活のシーンを思い浮かべて考えると、

あれこれできなくなることに対して→「簡素」であること
同じく使いやすくするために→「便利」であること
高齢になった時へ想像力を働かせる→「配慮」があること
後から手すりの増設やいろいろな補助具を使うためのスペースの→「余裕」があること

つまりは、余裕のあるおおらかな間取りとシンプルな生活が見えてきます。


●生活シーンごとのバリアフリーを考える

◇買い物・通院など…日常の買い物や通院のことを考えれば、家の中のバリアフリーだけでは不十分です。スーパーやバス停まで、あまりに急な坂道がないことが、長く自立できることにつながります。門から玄関までについても同様です。

◇調理と食事…調理中のガスの火が、衣服の袖に引火して亡くなる事故もありました。どんな器具でも使い慣れること、リスクの大きい油を使わない調理法の習得、ヘルパーなどがいる間にまとめて調理して、冷凍+電子レンジの上手な活用の習得など、高齢になる前の準備が決め手です。

◇洗濯・掃除…とかく日本の暮らしは、狭い部屋に雑多な家具があふれがちです。結局、毎日充分な掃除ができません。衛生面からも、高齢になる前にすっきりとした部屋にしておくことを心がけておきましょう。日頃から、モノを増やさない心がけが、バリアフリーの空間作りとしては大切です。

◇入浴・洗面…設備に関するバリアフリーの考え方は、機器メーカーのマニュアルが充実していますので、ここでは詳細は省略しますが、浴室の洗い場や洗面室は充分な広さがあった方が、後々対応がしやすくなります。下着やリネンの収納があると、家事導線が短くなり、格段に便利です。

◇就寝…若い頃は単に就寝の場でも、高齢者にとっては生活の場に近づいていきます。ベッドまわりの機能と快適さが最重要ポイントです。下記の収納やその他の項目を参照ください。

◇収納…高齢者の暮らし方の調査によると、普段就寝している布団やベッドのまわりに、細々とモノを並べるという傾向があります。つまり、きちんと収納できないのです。薬・ティッシュ・衛生道具・血圧計などの器具類・ポット・茶碗・菓子類・葉書や手紙・アルバムなどが、まわりの畳やサイドテーブルなどに散乱します。昔はこれらを一括して収納する茶箪笥なるものがありましたが、今はなぜかあまり見かけません。現代の暮らしや道具を収納するのにふさわしい、ベッド用の茶箪笥があると便利だと常々思います。

◇その他…現代人は、さまざまな家電製品に囲まれて暮らしています。さらに高齢になると電化製品に頼る頻度が多くなります。適切な数のコンセントが適切な位置にないと、タコ足配線になりがちで、転倒の原因になります。必要に応じて、数を増やしたり、デスクより上部のコンセントに作りかえたりすることなどが、バリアフリーの観点からは大切なポイントです。コンセントが必要な身のまわりの機器を考えても、TV・ビデオ・DVD・ラジオ・PC+プリンター・スタンド・電話・ポット・部分冷暖房(ホット毛布・扇風機・足温器など)…驚くほどです。予備にもいくつか必要でしょう。


手すりや段差なしだけでないバリアフリーのイメージがご理解いただけたでしょうか。日々のシンプルな暮らしの工夫がバリアフリーにつながります。機器や設備に関して言えば、バリアフリーは、実は簡単ではありません。手すりだけを考えても、端部の処理(袖口が引っかからないように、必ず壁に向かって折り返すのが原則)、取り付けの位置・高さなどによっては、かえって事故を招くこともありえます。知識や経験のある設計士に相談ください。

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