
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
今までも何度となく、このコーナーでライフプランニングの大切さを強調してきました。ただし、それは「住まいを手に入れる時は…」「保険を選ぶ時は…」などの暮らしの様々な選択の時に、ライフプランを活用する観点から述べてきたのであって、読者がいざ自分でライフプランニングを考え、最終的にライフプランニングシートに表現しようとした時の実際の作り方については、いくらか観念的に述べてきたように思います。今回は総集編として、実際の作り方に徹して、何回かにまとめてみたいと思います。
初回は復習として、なぜライフプランニングが必要かについてまとめておきます。
●ライフプランニングとライフプランニングシートとは
◇ライフプランニング…
文字どおり人生設計です。例えば、「子どもが就学するまでに住まいを取得したい」など、「自分は、いついつ何をしたい」という計画です。
◇ライフプランニングシート…
住まいの取得だけを考えれば、頭金もローンの支払いも問題がないとしても、それでは「子どもが2人大学に入学しても大丈夫か」「老後の資金も貯めていけるか」など、いくつもの計画を全て実現していけるか、どのように調整が可能かなどの収支面を検証するのがライフプランニングシートです。
※ライフプランニングシートのイメージは「最適な住まいの購入計画とは その1」を参照ください。
●よくある質問とファイナンシャルプランニング的解答
「住宅取得の頭金は一般にいくらくらい必要ですか」
「固定金利と変動どちらが良いですか」
「元利均等と元金均等のどちらが良いですか」
「保険金はどのくらいが適当ですか」
「皆さんどのくらい保険料を支払っていますか」
これらの質問の裏側にあるのは「皆さんはどうなのか」「皆と同じだと安心」「答えや答えを簡単に導き出す基準を教えて」など、他に基準を持ってきているということです。もはや1億総中流の時代でも、給与が右肩上がりで上昇していく時代でもありません。隣と一緒と考えていては、人生の中の様々なリスクに対応できません。これらの質問に対する答えは全て同じです。
「それは、あなたのライフスタイルや現在の状況によって、個々に異なります」
それを導き出すのがライフプランニングシートで、ライフプランニングが必要とされる所以なのです。
●ライフプランニングシートで確認できること
ライフプランニングシートは作り方次第で、応用範囲がどんどん広がります。詳しくは次回以降でまとめて行きますが、基本的な事項は下記のような項目です。
◇生涯収支とリスク管理…
生活設計通りの計画を記載した場合、どこかで家計が破綻することがわかったとします。基本的数値の正確さなどに問題がないとすると、改善する為には「計画を変更する」「収入を増やす」「消費を抑える」「保険で補う」などの対策を講じますが、「何を」「いつから」「いくら」「どのように」などを計算することが出来ます。対策は早いほうが楽に出来ますので、若い時から折々にライフプランニングシートを作成すると、将来に差がつきます。
◇住まいの取得の適正な計画とローンの選定…
「いつ取得する」「どのくらいの価格のもの」「頭金は」「ローンの年数は」など、無理のない計画を確認できます。
◇保険の選定…
基本的なライフプランニングシートをベースに、「働き手が死亡、高度障害になる」などの万一の場合のシートを作成します。その時に家計が破綻する金額が必要補償額です。保険の見直しは、無駄に掛けすぎていた保険を、この必要補償額まで削減する作業です。
◇資金の確保…
住まいの取得資金や創業資金、老後の資金など、将来的に必要とする資金を「いくらずつ」「どのような方法で」蓄えていけばよいか、計算できます。
◇消費の削減と蓄財…
日々の出費をほんの少し削減すれば、数10年後の老後の資金に驚くほど差が出ることが分かります。22歳の就職時から毎年20万円ずつを節約し、65歳まで2%の利子で蓄財します。毎月5000円とボーナスから7万円ずつでも、毎月約1.7万円でもかまいません。65歳の時には1,320万円の老後の資金がプラスされます。4%の運用の場合は約2,280万円となり、運用なしだと860万円です。少しの努力で長い間には大きな蓄財となること、長期の運用は利率が大切なことが分かり、節約もしやすくなります。
若い方の間に、投資熱が盛んです。投資をする前に、まずライフプランニングシートを作成し、投資に関して自分が許容できるリスクを把握し、節約することからスタートするべきです。上記の20万円も、10万円は安全な預貯金に、残りの10万円はリターンの大きいものへ…など、ライフプランニングシートの結果によって様々な解答があります。
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