
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
住まいの基本的な性能としての安全、これは当然ながら、家族の生命と財産を守る「家」も構造物である以上、何かしらの危険が伴います。例えば「転落」に関しては、2階建ての家は平屋の家より当然危険度が高まります。中層以上のマンションは一層の注意が必要です。
新しい住まいに移ったら、我が家にはどんな危険があるか丹念にチェックします。新しく住む地域についての知識も大切で、なるべく早く情報収集に努めましょう。
●地域の安全
引っ越したら(本当は住まいの取得前に確認が必要なのですが…)、まず地域の災害の状況を確認します。崖地などの危険度は一見して分かりますが、それと比較すると水害は分かりにくく、特に広範囲なチェックを必要とします。
身近に感じられない方は、一度関東平野の地図を見てください。荒川と多摩川水系は極狭い流域しかなく、残りの扇形の全ては利根川の本支流が占めています。扇形の広範囲の流域から集められた水は、利根川と江戸川など数本に集中しますので、極めて洪水に弱い地形となります。これら全てが堤防で守られているのです。なだらかな丘で形成するスーパー堤防はまだまだ少なく、かなりの部分がかみそり堤防と呼ばれる決壊しやすい構造のもののはずです。
◇水害…
河川や下水道の氾濫、津波、土石流など、自然の力には勝てません。マンションでも1階は要注意です。谷地の場合はさらに割り増しして考えた方がよいでしょう。インターネットで過去の浸水状況が検索できる場合もあり、市町村や区で情報を提供しているところもあります。
◇避難ルート…
災害時の避難場所までのルートを確認しましょう。木造密集地、看板等が危険な商店街、ブロック塀が危険な狭い道路、ガラスの落下が懸念されるビルなど、危険度をチェックしながら火災や水害を想定してルートを点検しましょう。
このほかに、家屋の密集度合いや耐火性などから想定される、火災の危険度や防犯上の問題点も要チェックです。隣に擁壁があれば、安全性の確認は重要です。誰でも見て分かるチェックポイントは…
1. 水抜き穴が1.5m間隔である
2. 擁壁下に側溝がある
3. コンクリートに大きな亀裂がない
4. 全体としてどこかが膨らんでいない(膨らんでいると中の鉄筋が錆びている可能性がある)
5. 傾いていない
などが最低条件で、構造図・構造計算・工事中の鉄筋などの写真があれば、まず安心です。
●住まいの安全
住宅展示場設営の指導をしていると、危険に関する想像力が不足しているように思われます。若いインテリアコーディネーターや営業マン、女性のアドバイザーを見ていると、窓辺やバルコニーの手すりの側に椅子などを配置してしまうケースがあります。
来場者には小さな子ども連れも多く、これでは子どもが乗って窓から転落する危険を作っているようなものです。実際に小さな子ども連れの家族などを観察していると、自分たちが見学するのに熱心で、子どもは自由に走りまわり、見ているとはらはらします。
◇健康…
「住まいの購入後 総集編1」をご参照ください。
◇事故防止…
下記の図を見てください。実際に報道された事故例です。屋外機置き場は、人が出て良い場所として設定されていないため、手すりの高さなどを見てみると安全への配慮はありません。幼児にとって極めて危険な場所となっていることは一目瞭然です。

図のような設備用のバルコニーがない場合でも、ベッドや家具を腰高窓に寄せて置くのはよくあるケースです。配置する場所を選ぶほどスペースに余裕はありませんので、家具位置は必然的に決まってしまうのが普通でしょう。このような場合(戸建の2階以上の部分も同様)は、窓枠に横棒を何本か追加する、あるいはサッシの上部にチャイルドロックを取り付けます。
最近はマンションでも広めのバルコニーが人気です。椅子やテーブルを置いて、休日などは外で朝食を楽しみたいところですが、幼児がいるときは、それが足掛かりとなり、転落の危険につながります。
また、屋外の面格子やサッシのエッジは意外に鋭く、子どもの目の高さにそのエッジがある場合が少なくありません。子どもが家のまわりを走りまわることを想定して、ゴムのカバーや植え込みで対処しておきます。
このように、よく観察すると住まいには危険がいっぱいです。危険防止のために、慎重に我が家を観察することから始めましょう。浴室のドアなどにはチャイルドロックが設置されていますので、設備の機能を熟知することも重要です。
◇防犯…
中が見えないブロック塀となっていないか、2階のバルコニーなどへの足掛かりとなるものがないか、家の周囲を巡回できるかたちになっていないか(逃げ道が複数になるので侵入しやすい)等、外まわりから点検します。一部をふさいだり、音がする砂利を敷きつめたり、中古住宅の場合は面格子などの錆や強度も確認します。
ドアやサッシなどの開口部も複製できない鍵に交換する、補助錠を取り付ける、ガラスに防犯用のフィルムを張るなど、いろいろな方法があります。警視庁のホームページなどで、有効な方法を検索してみてください。対策には自分でできることも少なくありません。
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