
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
団塊の世代が、大量に定年退職することによる様々な諸現象を「2007年問題」として、マスコミが取り上げています。「2007年問題」は前々から分かっていたはずが、なぜ間際になって問題になるのでしょう。また、個人として「2007年問題」をとらえたときに、我々の暮らしにどのように影響していくのでしょうか。特に、まだ若い世代は「2007年問題」から何を学びとっていけばよいかなどを、考えてみます。
●2007年問題とは
最初に、2007年問題を、大きく「社会的な問題」と「身近な問題」に分けて、簡単に整理しておきましょう。
◇社会的問題
【企業の人材不足/ノウハウの断絶】
単純に、人材不足や仕事のノウハウが途切れてしまうだけでなく、派遣社員・パートのあり方など、雇用全体の問題にもつながっています。
また、近隣諸外国は、業務に熟練した団塊の世代の退職者に、大きく注目しているそうです。
【高齢化】(年金・介護・医療費)
現在の60歳が、本格的に年金や介護を必要とするまでに、10年程度あります。
その間にいかに準備を整えるか、行政の手腕が問われています。
【消費拡大】
団塊の世代が大量にリタイアすることで、新しい消費ニーズが期待でき、各業界は、団塊世代の取り込みに鎬を削っています。
◇身近な問題
【働き方】
団塊の世代へ期待されることは、60歳以降の新しい就業スタイルの開拓です。若い世代にとっても無関係ではありません。
【住まいと暮らし】
暮らし方も同じです。第2の人生の住まいや暮らし方は、介護や資産の相続など、その子供の世代にも影響を及ぼします。従来の高齢者のように子供に介護を託せる環境ではなくなってきています。
●2007年問題と暮らし
団塊の世代はいつの時代においても大きなウェイトを占めています。それだけに、向かう方向が今後の日本の社会を規定していく力を持っています。
【暮らし方の例】
・完全リタイアし、趣味やボランティア活動に取り組む
・そのまま会社に残り、嘱託という形で働く
・起業する
・新しい会社で経験を生かす
・人生を楽しむための不足資金分だけ働く
少し前の時代、定年後の亭主は家庭では粗大ゴミと言われていました。慣れないボランティア活動に参加しても、長年活動に取り組んできた主婦たちに対し、会社にいたときのように上司のごとく命令してひんしゅくを買ってしまう。
趣味の場でも、自分より長く参加する先輩女性が入れたお茶を、「ありがとう」も言わずに当然のごとく受け取る…。
会社を一歩出たボランティアや趣味の世界では、自分が何も知らない新入社員同様で、雑用やお茶出しは、新米参加者の自分の仕事とは気がつかない定年者が多く、どこでも嫌われてきました。ニューファミリー文化を形成した今の団塊世代は、このような事態にはならないかも知れませんが、「暮らし方」ひとつ考えても、かなりの意識改革とエネルギーが必要なことが分かります。
しかし、いずれにしろ大量に関わる人口が増えれば、社会が大きく変わる力を秘めていることに変わりはありません。
●2007年問題と住まい
老後の暮らしを考える上で、住まいは重要なポイントです。大きな資産のひとつであり、何か生活を変化させるときの資金になります。海外や田舎の暮らしを望めば、現在の住まいの処分や活用の問題に直結します。今は引き続き住み続けるにしても、身体の自由が利かなくなるときの対策は、考えておく必要があります。庭の手入れも必要な戸建住宅から、快適で便利なマンションに住み替えを考える高齢者も少なくありません。住まいを良好に維持し、老後に活用させる動きが多くなれば、日本ではなかなか定着しない「住まいのストック&フロー」を作り出す動きになりえます。
2007年問題は、雇用の場でも消費や流通の場でも大きく現状を変化させる要素を含んでいて、若い世代にも大きく影響を与える可能性がある点に注目したいと思います。
次回以降、2007年問題に関する身近な問題について、もう少し取り上げていきます。
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