
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
今回、述べる事柄は一見些細なことのようですが、団塊の世代が今後どう暮らしていきたいかを見つめ直す上で重要な要素を含んでいます。また健康で快適に暮らすために必要な事柄を盛り込んであります。
●不用品の整理
今後の人生設計がきっちりしていないと不用品の整理はできません。今までの経験を活かして何らかの形で仕事を継続するなら、今までの資料は捨てられません。若い頃いろいろかじった趣味の道具は、「リタイアした後こそ、楽しみたい」のか、「もはや興味が無い」のか、決めなければなりません。
団塊の世代も多くは63歳くらいまでは働くでしょう。嘱託や契約社員という立場になるかもしれません。しかし、「責任が少なくなりながらも収入があり、まだいろいろ活動するエネルギーのある」この数年間は、今後の人生のために住まいと家財のリフォームを行う時期としては、貴重な年月です。リフォームにはお金がかかります。できれば在職中に済ましておきたいものです。家財は捨てるだけでなく、これからの生活に必要なものは買い足すことも考えられます。予想外の費用が発生しても、もう1年働くなど対策も立てやすくなります。また、年を取るに従って、モノを捨てたり整理したりするエネルギーは失われます。この数年、しっかり準備することが、健康で快適なその後の人生のために大切な期間なのです。
●高齢化とリフォーム
50代や60歳そこそこで、自分達の老後のために住まいを改造するにはなかなか至りません。しかし、この年代は親の介護の年代でもあります。私の周囲でも介護経験の無い人間は見当たりません。「頑固で」「物が捨てられず」「片付けができなく」…親たちに振りまわされる友人達の嘆きをたくさん耳にしました。親を引き取ったり、夫婦で親の家に住み替えるケースも少なくありません。この場合、2世帯分の家財は1世帯分のスペースには納まりません。いやおうも無く、持ち物を選別せざるを得なくなります。ですので、早いうちに自分自身の老後の設計を見つめるチャンスと考えて取り組みたいものです。
●高齢者向けの家具とは
高齢者世帯の暮らしぶりを調査した研究データがあります。1軒1軒調査し、その暮らしの実態を調査したものです。間取りと家族構成・年齢等を調査し、その中で家具・日用品の配置とサイズを克明に記録しています。6畳の寝室に、様々な家具が1.5~2畳分、布団が1畳強、残りのスペースを下記の茶箪笥に納めたい物が、布団やベッドの周りにあふれているのが共通のイメージです。これでは掃除どころではない状況に陥ります。
◇◇◇茶箪笥の薦め◇◇◇
団塊の世代が子供の頃を振り返ってみたり、その頃の映画を見ると、茶の間には茶箪笥がありました。最近あまり見かけません。現在、サイドボードに姿を変えていると思いますが、サイドボードには「茶箪笥」が持つ多機能で、生活に密接なイメージはありません。高齢者の暮らしを考えると、現代の生活にふさわしい茶箪笥があってしかるべきだと思います。
◇◇◇茶箪笥の機能◇◇◇
現代の生活に対応する茶箪笥の機能をまとめると、実に使い方もサイズも様々、1つの家具にデザイン良くすっきりと納めるには無理があるようにも思われます。しかし、これらを収納する家具が個別に手の届く位置にそれぞれあると考えると、実に雑然となりそうです。
・お茶のセットを収納(電気ポット・コーヒーメーカー・コンセント・給茶セット・砂糖・お茶・コーヒー・紅茶・菓子箱・菓子皿・布巾・台布巾等…)
・薬の収納スペース(常備薬・処方薬)
・日用衛生セットの収納(ティッシュペーパー・ウェットティッシュ・爪切り・めがね・拡大鏡等…)
・ラック機能(当日の新聞・週刊誌・番組ガイド・読みかけの本等の一時保管)
・飾り棚機能(家族の写真立て・遺影等のスペース)
・書架機能(住所録・電話帳・地図帳等…)
・事務用品収納(レターセット・メモ・筆記用具・切手・葉書・携帯電話・セロハンテープ・ホッチキス・定規等の日用事務用品等…)
・その他(簡易冷蔵庫等…)
◇◇◇現代の茶箪笥のポイント◇◇◇
1.ベッド生活に対応すること
2.電化製品を収納するスペースとコンセントが用意されていること
3.ある程度身体が不自由になっても使いこなせること
4.可変要素を含む…可動棚やワゴン組み込み等、利用者が使いやすく工夫できる余地があること
これから住まいを購入・建設する場合、家具をあれこれ増やすより、現代の茶箪笥を考えてみてください。若い世代にも便利なはずで、すっきり暮らせるはずです。
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