
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
グローバル化の時代にむけて、語学力は必須です。しかし、語学力があればグローバル化に対応できるかといえばNOといわざるを得ません。EUは経済面では市場を統合していく方向にありますが、文化的には多様性の維持に努力しています。その要となっているのが多様な言語なのです。公用語は20言語あり、EUの議会では、それぞれの国の議員がそれぞれの言語で話すための同時通訳に、膨大な予算が組まれているそうです。それぞれの文化を尊重し、その中で共通の認識を育み、世界に対して発言力を強めていくことが根底にあるのです。真のグローバル化に対応していくには、違いを知り、互いに尊重し、そのうえで自在にコミュニケーションをとっていく必要があるでしょう。
●語学と国際化
英語は当初わずか15万人しか話す人間がいなかった絶滅の危機さえあった全くのマイナーな言語でした。それが、今や15億人が話す共通語になりました。現在世界には約6700の言語があるといわれていますが、その多くは絶滅の危機にあります。ITなどによってグローバル化する世界において、英語、中国語など、多大な人口を有する言語が世界を席巻し、それ以外の言語はそれに容易に飲み込まれてしまう危険を有しています。日本語も楽観はできません。大切なことは言語が文化の要であるということなのです。だからこそEUは神経を使っているのです。しっかりとした日本の文化への素養を固め、他の国の文化を理解し、その上で多様な言語を駆使していくことが大切です。
●子供の英語教育は必要か
小学校からの英語教育が本格化するようですが、日本語も満足に繰れない段階での外国語教育には、個人的には疑問を持ちます。何かしらそれぞれの文化を同時に習得していく国際結婚や海外駐在による子供のバイリンガル化と、単なる語学教育とは意味が違います。
中・高校、場合によっては大学と7年くらい英語を勉強しても、英語はうまく身につかなかったのが日本の英語教育の実情でした。この状況で単に小学校に引き下げてもあまり変化はないように思います。なぜそうなったか、いろいろ原因はあるでしょうが、一番は必然が無かったからです。使う機会も必要もなかったということでしょう。戦後占領下「ギブ・ミー・チョコレート」などの言葉は、使う機会と必要がもたらしたものです。日本人の粗末な英語力は幸せな日本の戦後の象徴です。
●英会話塾の選び方
従って、学校に加えて英会話スクールに通う意味は、留学など特定の目的以外、子供には必要かどうか問題です。少しずつ月謝に費用を費やすのであれば、下記のような手段をお薦めしたいと思います。
◇文通…地味な手段かもしれませんが、文化も含めてかなり勉強になります。中学校の時にアメリカの子供と文通していましたが、クリスマスのカードを送ったらモルモン教徒の家庭で、全く違う文化に驚きました。結局モルモン教とは何か…などと調べることになり、自分の国のことも紹介することになるので、それも勉強することになります。
◇サマーキャンプなどの短期留学…30日間のホームステイで費用は50万円強+小遣い・諸費用くらいでしょうか。高校生の時にアルバイトに励んで、それまでのお年玉などの蓄えをかき集めれば、大学の夏休みにサマーキャンプに参加する程度は資金が溜まるはずです。親が支出するなら、英語の基礎知識もある程度あり、外国の文化も理解できる中学2年生くらいでも可能でしょう。周りをみわたしても相当の友人が子供をキャンプに参加させています。仮に中学1年の夏からキャンプに参加させる場合は、それを目標に小学校から塾に通い、日本や米国の歴史なども合わせて勉強させると効果的かもしれません。折り紙などの特技を身につけ、英語で説明できるように準備すると、より一層効果があると思います。
◇英語喫茶・バー・パブ…大人になっていれば、六本木など外国人が多く集まる店などへ出向くのも良いでしょう。単に会話だけが目的の店よりも、ライブやイベントを伴う店の方が共通の話題があり、興味のある事柄を通じてスキルも向上すると思います。私は建築のイベント時に参加したことがあります。今は知りませんが、ライブなどのほかに、建築関係のイベントが定期的に行われていました。外国の建築家やその卵が最近の作品や造形の考え方をスライドやビデオで発表します。それぞれの発表の終わりに質問や感想が取り交わされます(もちろん英語で)。日本人も若干いましたが、発表者は全体として数十人に及んだと記憶しています。多くの外国の若者が日本で建築を学んでいるのには驚きました。客も大半が外国人で、お酒や軽食を楽しみながら、交流を図っていました。
結局、英語教育のポイントは…
1.自国の言葉と文化の素養を高める
2.実地で使う機会を高める
3.文化と共に言語を習得する
日本の児童の学力が低下していると言われている中、小学校ではみっちり基礎を固め、中学になったら短期で英語力の効果をあげる方法を考えるほうが効果的だと個人的には思っています。私の同級生で、ラジオの外国語放送などを利用して、英語とドイツ語を習得し、新たに10代半ばで中国語を勉強している人がいました。英語は必須ですが、中国語などはこれから有望だと思います。アメリカでは既に第2外国語として中国語もクローズアップしていると聞きます。グローバル化の時代になり、日本人も外国語が不得手でいられた幸せな時代は遠くなったということだと思います。
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.interblog.jp/bizmt/mt-tb.cgi/507