
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
中古住宅は、物件さえ最適のものが見つかれば、面倒な住まいづくりの段階を経ずして、すぐに入居できるメリットがあります。また、新築の場合、プロでないかぎり図面から実際の3次元空間をイメージするのは難しく、「こんなはずでは」といったケースも見受られけます。模型やパースのほかに、最近は3次元映像を動かして、いろいろな角度からシミュレーションすることも簡単にできますが、それでも平面上の3次元映像や縮尺の小さなものを正確に実寸イメージするのは難しいものです。施主と一緒に家具店へ家具を選びに行くと、大概その部屋には大きすぎるものを選ばれます。「これだと、家具だけで部屋の隙間が無くなります」と言っても、なかなか理解してもらうのが大変です。この点、中古住宅は実物を確認できるメリットがあります。しかし反対に、建物の性能は完成品ではなかなか分かりにくいのも事実です。特に見えにくい安心・安全面でのチェックポイントについて考えてみましょう。
●築年数に関するチェックポイント
◇耐震性能
大きな震災が発生するたびに、建築の基準は大幅に改正されてきました。特にマンションの場合は新耐震基準以降の建物であることが大切です。新耐震基準への改正は昭和56年ですが、この基準を適用した建物の完成は、少なくともその数ヶ月先、マンションは少なくても1年以上先ですので、ご注意ください。また、建てる時に住宅金融公庫などの融資を受けている場合は、公庫の基準に則っていると考えられますので、安心度は高くなります。
◇建物の耐用年数と建替え時期
例えば50歳代で、まだ新築に近い物件を購入する場合は、自分達の平均余命より建物は長持ちしますので、子供に相続することになります。子供が利用するかどうか、売却できるかどうかも頭に入れて考えます。代が変わると、よほど大きな物件でないかぎり、まだ充分に使えても取り壊しになるケースが多いのが現実です。自分の平均余命と同程度の耐用年数の建物を選ぶ方が経済的で、環境にもやさしい選択となります。
●建物の性能に関するチェックポイント
◇設計図書の保存
販売用のパンフレットや図面ではなく、設計図書が保存されていることが大切です。そのほかに望ましい保存資料として…
・確実に施工されたことが証明できる工事写真(特に配筋や金具の使い方)
・仕様書
・工事業者一覧
・リフォーム、メンテナンス工事の資料
・機器類のメーカー名、品番や保証書
・性能保証制度を適用した場合の保証書
●法的規制と環境チェックポイント
◇既存不適格
(違反建築)中古物件の場合は、違反建築のケースも考えられます。また、新築当初は合法でも、勝手に増築している場合もあります。ローンが組めなかったり、建替えようと思っても同規模のものが建てられなかったりする場合もあります。
(法的規制の変更)また、規制そのものが変わっているケースも考えられます。建替えても同じ規模のものが建てられるかどうかの確認は絶対に必要です。用途地域や防火制限などが厳しくなり、一般の木造等が建てられない場合もあります。
◇地域に対する的確度合い
敷地に建物が既に存在すると、その状態をベストなものとして肯定しがちです。しかし、建物の構造的な安全性と共に、地域的な安全性も大切なポイントです。地盤の強度、水害の履歴などを調査すると「基礎にお金がかかる土地柄」「基礎をもう少しあげたほうが良い」などとなるかもしれません。基礎を高くすることは、建物全体の高さが高くなります。敷地には隣地や北側、道路側などからの高さ制限があります。地域的な安全面をより配慮すると、建替えのときに2・3階の床面積が小さくなる可能性もあります。
中古住宅を選ぶ場合は、まず、土地だけを選ぶことを想定して、立地などの市場価値や地盤や災害面をチェックします。次に現在の建物が安全であることの証明となる図書などの整備状況を確認します。次に建替え時の問題点を確認します。中古といっても結局は、確認すべき事項は新築以上にあります。安易に考えずに、しっかり事前のチェックを行って、大切な財産となる物件を選びましょう。
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