
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q:最近、地震が多いので対策をしたいと考えています。お金をかけずにできる補強で、良い方法はありますでしょうか。
A:地震対策はいろいろあります。今回は室内でできる対策を解説しようと思います。阪神淡路大震災の時、亡くなられた方の多くは家具の下敷きになって亡くなられたそうです。家具の下敷きにならない配慮は誰でも、今すぐにでも取組める対策です。ぜひ周りを見わたして、安全面のチェックを行ってみましょう。
●Step1 室内の地震対策の第1歩は不用品の整理
日本人は物持ちです。食器だけで和洋中華とあり、季節に応じた衣服も必要です。お歳暮や引き出物などの習慣から、不用品もたまっていく一方です。婚礼セットの衣装たんす類がある家も多いでしょう。その割には国土は狭く、1家族の居住面積も充分とは言えません。
しかし、あまり使わないものに貴重なスペースを占拠され、災害時には命の危険にさらされるほど、つまらないことはありません。被災者の話などを聞くと、たんすが隣の続き間から宙を飛んできたそうです。
地震対策の第1歩として、不用品は思い切って処分しましょう。そして、以後、物を増やさない工夫も合わせて行いましょう。不用品の整理は、建物にかかる荷重を軽くする効果もあります。例えば、2階に膨大な本を置いていれば、1階の柱の負担はそれだけ大きくなります。また、清掃も充分に行き届くようになり、健康的にもよく、一石二鳥どころか三鳥くらいのメリットがあります。
●Step2 不要家具の整理と造り付け造作の工夫
不用品を処分すれば、それを収納していた家具、押入やクローゼットにもゆとりが出るはずです。古くなった家具、使い勝手の悪い家具、簡易的な安価の家具などから処分していきます。
モノはできるだけ造り付けの収納に納め、家具類もできれば、納戸や収納に入れてしまいます。このときに必要に応じて、押入れなどの収納にハンガーパイプを取り付けたり、不要な棚を取り去ったりリフォームをすると、より快適な暮らしになります。収納の扉も地震などで開いてしまわないものを選ぶと良いでしょう。
●Step3 家具の配置変更と家具の固定
やむを得ず居室に残ってしまった家具は、転倒して頭を直撃しないように、配置を工夫します。最後に転倒防止の楔を家具の床面に設置したり、金具で固定したりします。地震対策というと、いきなり転倒防止金具を思い浮かべることが多いと思いますが、家具だらけの部屋に、金具やチェーンやツッパリ棒で固定されている状態は、決して美しくなく、心休まるものでもありません。
最後に物を入れなおすときに、重いものはなるべく下のほうに移動しておきます。本棚等は、棚板から3cm程度のところに可動式のバーを取り付けておくと、一度に直撃されるリスクを軽減できます。文庫本がぱらぱら落ちてくる程度でしたら、さほど危険は無くても、分厚い辞書が一度に落下してきたら、とても危険です。重量のあるものは1階に移動することも検討しましょう。
●Step4 調度品の固定・飛散防止フィルム等の処置
最後にテレビやパソコンなどの器具を粘着性の転倒防止シートなどで固定します。周辺機器なども忘れずに固定します。転倒防止シートはあらかじめカットされたものや、自分で機器類の形に応じて自由にカットして使うものなど、いろいろあります。適正荷重の表示をよく見て選択ください。
地震対策は、住まいを新築する時や購入する時に、大いに参考になります。例えばStep1に関して言えば、引っ越し時は不用品の処分が最もやりやすいチャンスとなります。せっかくの新居での快適な暮らしのために、必要品の選別は入念に行いましょう。また、Step2やStep3の視点はとても大切です。できれば、廊下など、人が長くとどまらないところに、季節品や使用頻度の低いものの収納を設けると使いやすく、部屋に物があふれるのを避けることができます。
必要に応じて床に補強を入れるなど、ちょっとした手直しは、入居前であればより簡単です。
こういった手短なところから、対策を行っていきましょう。
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