
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q:夫婦共働きなので、住宅ローンを組むときに2人分の収入を合わせた「収入合算」を予定しています。この場合のメリットとデメリットを教えてください
A:まだ若く収入が少なくても、子供の教育費負担もない時に、収入合算による住まいを取得できることはメリットが少なくありません。夫婦で継続して働くのであれば、リスクも少ないでしょう。デメリットは、リストラや妻の出産による離職、病気や離婚など、何かしら均衡が崩れた時に、一挙にデメリット面が現れる場合があります。いろいろなケースをシミュレーションしてリスクの度合いを確認しておくことが大切でしょう。
●収入合算とは
フラット35などは、1物件に夫婦別々にローンを組むことはできません。共働きの夫婦で、返済計画は無理がないとしても、片方の収入だけでは借入金額に対する収入要件を満たせない場合に、2人の収入を合算して申請する方法です。婚約者でも大丈夫です。合算者は連帯債務者になることが必要です。
●メリットとデメリット
(メリット)
◇若い夫婦など、1人の収入が少なくても、ローンが借入でき、新居を購入できる。
◇同時に、家賃を消費することなく、子供の教育費負担が多くなるまでに繰り上げ返済等により、ローン負担を軽減させられ、その後の生活設計がやりやすくなる。
(デメリット)
◇妻の出産や転勤等により、妻が離職した場合にローン負担が増す。
◇もともと、1人の収入では借入金額に見合う収入が無いと言うことは、一般的には1人では返済に無理があるいうことなので、妻の離職以外にも収入が減少するなどの変化へのリスクが大きい。
◇売却などの際に、物件価値が下がっていると、ローンを精算しても手元に残る金額が少ない。バブル崩壊時には、売却しても残債が残るケースが多発した。
メリットは「夫婦で継続的収入がある」ことが前提です。従ってデメリットは、片方または双方に収入が減少、または無くなった場合、当初無理している分、リスクも大きくなる点です。収入合算する場合は、出産や転勤、買い替えの有無なども考え合わせて、返済計画を立案することが大切です。
●リスクの回避方法
◇デュエット(夫婦連生団信)への加入…フラット35の場合、夫婦どちらか一方の加入者が死亡または高度障害状態になったときに、住宅の持分にかかわらず残債が全額弁済されるものです。
◇長期の固定ローンを選択し、繰り上げ返済で期間を短縮…返済期間が短いと、毎月の返済額が多く、万一の場合の負担が大きくなる。期間を長くすると総返済額は増加するが、月々の負担額は少なくなり、万一の場合に対処しやすくなる。何も無ければ、繰り上げ返済を繰り返し行っていけば、総返済額は少なくできる。
◇早期に繰り上げ返済することで、その後の負担を軽減する…特に若い夫婦にとって、先々は未確定なことが多くあるので、夫婦で働ける今現在、より多く返済するように努力することによって、将来のリスクを軽減できる。
◇生涯収支を計算する…先々の可能性をいろいろ考えて、返済計画のシミュレーションを行い、リスクの程度を把握しておく。
◇夫婦共に継続的に働き、できるだけ安定した収入を継続して得られる職場を選択。
収入合算に限らず居住用財産を共有する場合、後々売却したり買い換えたりするときは、一旦夫婦別々の財産として金額に置き換え税金の計算をします。その際に税制面で不利にならないように、またあくまでも夫婦の財産とは言え、出資やローン負担に応分の持分とするのが本来の形なので、その点も考慮して持分を決定します。
収入合算にすると言うことは、連帯債務者になることであり、共同で返済すると言うことです。当然共有名義となります。収入合算同様、共有名義も均衡が崩れた時に問題が発生しがちです。連帯債務者や共有名義についても、よく理解しておくことが重要です。
共有名義や連帯債務者については、バックナンバーを参照ください。
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