
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q:中古一戸建ての購入を検討しています。床下や見えない部分の柱など、基礎部分がきちんとしているか確認する方法はありますか。
A:残念ながら、完成建物の安全性を確実に確認する方法はありません。ただし、問題のある物件を購入してしまうリスクを少なくする方法はいろいろあります。第一は、信頼できる施工会社やディベロッパーの手によるものを選ぶことだと思います。
中古住宅を購入するということは、土地も含めて少なからぬ資金を投じるということです。見た目はどうあれ、「構造体がしっかりしているか」など、見えない部分の性能への不安は当然です。完成済みの建売住宅購入の場合も同様ですが、リスク低減のポイントを考えてみましょう。
●ディベロッパー・施工者で選ぶ
有名ディベロッパーや住宅メーカーであれば万全というわけではありませんが、零細会社やできたばかりの会社によるものよりは、格段に安心といえます。経験が大きく左右しますので、歴史の長い、または実績棟数の多い会社を選び、その会社の工事中の物件を見学すると良いでしょう。
●設計図書や工事写真で確認・融資の確認
工事中の状態を確認できない以上、売主や建設会社などの信用度合いと共に、設計図書により、その性能を確認することになります。また仕様や性能の確認と共に、図書類自体の保管状況も大切なポイントです。きちんと保管されていれば、住まいの管理にもある程度信頼がおけるのです。同時に、しっかりした工事はしっかりした設計図書の存在に連動します。簡単な図面、曖昧な設計は不良工事の要因です。したがって新築に際してどのような図面が作成されたのかも大切なポイントで、詳細な図面があれば、設計時に意図した性能が確保される確率は高くなります。
※参照:『売却を見据えた住まいの建築』 『中古住宅購入時のチェックポイント』
●施工年月と保証
住宅の品質確保の促進等に関する法律のなかで、「新築住宅の請負契約または売買契約における瑕疵担保責任の特例」という規定があります。新築住宅の請負人や売主は、その住宅を引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、民法の定める担保責任を負う義務が課せられています。つまり、築10年未満であれば、万一購入後に不具合が生じても、瑕疵担保責任の期間内ですので、補修改善等を要請できます。
また、住宅性能保証制度を利用していれば、制度の規定事項に従って補修してもらえ、新築時には所定の施工基準の遵守が求められ、現場審査もありますので、一層安心です。
そのほかにも、「既存住宅保証制度」というシステムがあり、適用を条件に購入する方法もあります。
※参照:『新築・中古住宅の瑕疵担保責任と設計図書の重要性』
●外観目視と床下・小屋裏の確認
外壁や基礎のひび割れは外からでも目視できます。専門家が見れば、ひび割れの原因や問題の程度などを推測できますので、契約の前には最低限、専門家による外観目視は行ってください。
また、可能であれば床下と小屋裏の確認を行うと、重大な問題をある程度回避できます。戸建住宅はキッチンの床下収納などから床下に入ることができます。基礎には通常点検のために、コンクリートで囲まれたブロック毎に、人が通れる侵入口が設置されています。無い場合は、そのブロック内に侵入できる点検口があるはずです。小屋裏については、その住宅の工法によっても異なりますが、在来工法は押入の天井から点検できるようにしていたのが一般的でした。
床下や小屋裏から見ることができる構造体は全体の一部ですが、作りの丁寧さなどある程度全体を推測することができます。だだし、中古住宅は購入時に人が住んでいる場合もあり、また売主が許可してくれるとは限りません。
建物の劣化の診断を業務にしている工事店などは、専用のカメラなどの機材を持っています。費用が発生しますが、建物の安全は生命にかかわる重要な問題ですので、可能であればぜひ行ってください。「特に問題がなければ契約する」という条件にもかかわらず、格別の理由がないのに構造体のチェックを拒む売主からは買わない方が安全でしょう。
床下などの構造体の確認はもちろんですが、外観目視や地盤・地形の問題の有無、設計図書のチェックなどは、やはり建築士などのコンサルタントに助力を仰いだほうが安心でしょう。購入費の1%程度を、必要に応じたコンサルタントや現場チェックのための費用として予算化しておくことをお薦めします。
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.interblog.jp/bizmt/mt-tb.cgi/572