
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q: 病気や災害、生きていくには心配事がたくさん。そろそろ保険を見直したいけど、なにを基準に選べばいいですか?また、収入に対していくらが基準ですか?。
A: 保険を選ぶ基準は、その家族が持つリスクの大きさによります。リスクの大きさを知るには、生涯収支を計算する必要があります。その人の人生計画によって違いますので、一概に収入の額からは判断できません。
保険は人生のその時々において、万一の場合のリスクに対処するものです。将来の計画とそのための必要資金が多いほどリスクが少なく、そのときの準備として用意している資金が少ないほどリスクが多いといえます。したがって、その家族の将来計画によって大きく異なります。
下記の家族には、保険でまかなうべき大きなリスクは何時どのようなものがあるでしょうか。
| 夫婦共にキャリアの公務員、子供は高校生が2人。 まだまだ教育資金が必要だが、親の方針で子供達は中学生の頃からアルバイトし自分で資金をためている。その上2人とも成績優秀で、国立大学に入学できる見通しである。一戸建ての持家もあり、片方の収入のほぼ全額を20年近く貯蓄してきた。ローンもない。老後は二人の年金で充分生活できる。 |
上記の例は極端ですが、結局はそれぞれの人生観、価値観によりリスクはさまざまです。専業主婦が希望の夫婦もあれば、将来独立したいサラリーマンもいます。医学部に行きたい子供もいれば、子供には大学院まで、充分に支援をして勉学に集中して欲しいと考える親もいます。自分の人生の中でいつどのようなリスクがあるかを想定するためには、その様な人生計画に基づいた生涯収支を算出する必要があります。今現在、働き手が死亡した場合、残された家族が生涯を通じて、いついくらぐらいの資金が不足するか。5年後、10年後はどうかをみていくと、それが必要補償額となります。
●生命保険の考え方
上記のライフプランニングで述べたように、生命保険選びは、まず保険会社の商品ありきとは考えずに、まず必要補償額ありきなのです。いつどのような保障が必要かがわかれば、後はそれを満たす商品を選べば良いだけです。最初に商品から入ると、今の保険はいろいろ複雑で理解するだけでも大変です。その上、『必要なもの』の基盤が明確でないということは、選択の基準を持っていないということで、目移りするばかりです。
◇考え方のポイント
・保険は「保障」、資産形成は「貯蓄と投資」と原則として分けて考える。
・生涯収支の上で、はじき出された必要保障額と保険金額が一致する保険がベスト。一般的に必要補償額は年々減少するので、保障額も逓減するものが合理的。
・働き手が死亡した時の公的保障の仕組みを理解しておく。死亡退職金、弔慰金などの一時金についても把握しておく。残された者の収入の見込みも考慮し、不足分が必要補償額となる。
・死亡の場合だけでなく、高度障害になった場合も考える。まれなケースであるが、働けない、高額な治療費がかかるなど、死亡時より経済的には厳しい状況になる場合もある。特に単身者の場合は、死亡保障は不要でも自分が障害を持つようになった場合も考えておく。リビングニーズの特約をつけておけば自分が利用できる。
●医療保険の考え方
医療保険に対する考え方もさまざまです。高額医療費制度や高齢者医療制度もあり、あまり必要ではないという意見もあります。しかし、保険とは、将来に向けて不測の事態に備えるものです。今後、どのような公的保険制度の対象外の治療方法が開発されるか分かりません。自分が病気になった時に、その治療方法が公的保険の対象になっているかどうかは誰も分かりません。高度先進医療費への対応なども考えていた方が良いでしょう。保険はあくまで自助努力では対応しきれない状況に対処するものです。
医療保険は若い時に加入すると、毎月の保険料も抑えられます。60歳で払い済みとし、80歳までもらえる保障や終身の保障を得られるようにしておくと、老後の年金の中から保険料を支払っていく負担を回避できます。ただし、若い時に加入する場合は、その後の物価の変動に注意し、必要に応じて額を増していくと良いと思います。いざ、何らかの病気が発生しやすい高齢者になった時に、1日の入院保障額が物価の上昇によって見合わなくなっていることも考えられます。また、離婚や死別などで配偶者の保険が消滅しない配慮も必要です。
◇考え方のポイント
・夫婦別々に加入する
・原則、生命保険とは別個に単独で加入する
・原則、掛け捨てとし、貯蓄は別個に考える
・退職などで契約が終了せず、生涯を通じて加入を継続できるものを選択する
・家族の病歴などで、自分のリスクを知る
・各種特約はベースとなる保険金額の増額と比較して、本当にメリットがあるか考える
・高齢になった時と現在の物価の違いを考える
◇チェックリストを作成する
何歳まで保障したいか、何歳まで保険料を支払うか、全期間通算保障日数は何日か、1入院の通算保障日数は何日にしたいか、介護保障や高度先進医療保障、各種特約、保険料など、気になる条件をリストアップして、各社比較してみましょう。共済も年齢などによって、かえって割高の場合も考えられます。各社のパンフレットを眺めるだけでなく、自分が重要視する項目のリストを作成し、各社の内容を書き込んでいくとだんだん絞れてくると思います。自分が加入している保険の内容をよく知らないケースも見られますが、チェックリストを作成すると、そんな事態も解消できます。
「人生設計ありきのライフプランニング」→「我が家のリスクの時期と額を把握」→「必要な補償を把握」!!
最適保険商品選びはこれにつきます。
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