
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q:今は賃貸アパートに住んでいます。室内を自由にできないこともあり、居心地良く出来ません。自分の住まいを持ったら、落ち着く雰囲気にしたいと思います。どのように整えたらよいのでしょう。
A:インテリアは、人それぞれ好みもあり、主役はインテリア用品でなく人間ですので、人間の居場所を作るように考えていくと良いと思います。
前回は「空間構成」についてでしたが、暮らしの中でインテリアを考える場合は、実際の空間の中で、実現したい生活のいろいろなシーンを思い浮かべてみるとよいでしょう。そのときに前回のコラムにある「人間工学」的な配慮も忘れずに考えます。大切なのは家具などのインテリアを思い浮かべるのではなく、人間が営む生活のシーンを考えることが大切です。
●生活のシーンと住まいとインテリア
【事例】: 家族の生活スタイルを知ることは、上手に住いづくりをする第一歩でもあります。まず、現在の住まいと暮らしの状況を観察し、問題点をピックアップし、改善点や住まいや暮らしに対する夢を確認します。下の表はそのためのものです。全ての部屋について、できれは休日と平日に分けて観察します。細かく観察するほど、これから作る具体的なインテリアが見えてきます。下記のように思いつくまま記入しても良いし、「団欒面は」「家事の効率は」「安全・健康面は」「家族それぞれの希望」…などのチェックポイントをつくり、それに添って確認していっても良いと思います。

●場を作る
【事例1】:電車の座席を思い浮かべてください。最初に端の席から埋まり、次は真ん中、空いていれば隣の人との感覚をあけて座ろうとすると思います。他人だからでもありますが、恋人同士でもない限り、人は一定の距離があった方が心地良いと感じます。顔をつきあわせ続けなければならない状況は、家族でも息が詰まります。リビングに適当な距離感が保てる家族それぞれの場を用意するようにインテリアを考えると、団欒の場としてリビングが有効に機能するようになります。一人はダイニングテーブル、ソファーに一人、離れた椅子にもう一人、隅のパソコンの前に一人など、それぞれ自分のことをしながらも、互いに気配を感じ、時には会話してひと時を楽しむような場を多く作ることがポイントです。二人以上が利用する主寝室なども、最低限ベッドの両サイドにそれぞれの小さなサイドテーブル兼用の机があると場が増えます。最近はあまりみかけませんが、アメリカのホームドラマのリビングも、その広さもさることながら、よく見るといろいろな場があることが分かります。
●場を作る三要素
場を作る三要素は椅子とテーブルと照明です。椅子は座れるものであれば、階段の一段目でも、段差のある床面でもかまいません。テーブルについても、ローボードでもワゴンのようなものでも、ちょっとコーヒーカップや本などを置ければ、用は足ります。照明はスタンドでも天井灯でもスポットでも、その場で読書ができる照度があればかまいません。明るい天井灯一つで部屋の隅々まで明るければ、それぞれの場に照明は不要ですが、それぞれの場に照明があれば、場の独自性は高まります。それぞれの場の間に、ほんの少し暗い部分があると、実際のスペース以上に距離感が出ます。狭い空間しか取れない場合は、照明で工夫すると良いでしょう。
インテリアは、家族があり、楽しみたい生活のシーンがあり、それに必要な場がある、そして場を作るインテリアがある。舞台の演出みたいです。シナリオ=生活スタイルがあり、役者=家族がいて、それにふさわしいセットや家具がある…主役は家族であり、セットや家具が主役ではありません。日本のホームドラマは食卓を囲んで、全員がカメラに向いているような不自然さがありますが、映画やドラマで室内シーンなどを見るときに、人間の位置関係とインテリアの場などに注目すると面白いと思います。
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