
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
「インテリアと照明」シリーズ最終回は、次世代の暮らしと照明に目を向けてみましょう。次世代の照明で注目すべき点は、2つあります。1つは、新しい技術の開発により、明かりの発光体が大きく変化することです。もう1つは、まるで目まぐるしく変化する時代と表裏一体のように、インテリアに更なる快適さや心地よさ、リラクゼーションの追求がなされることです。こうしたインテリアの発展には、照明がその重要な要素のひとつとなります。
●次世代のあかりLEDの特長と使い方
LEDとはLight Emitting Diodeの略で、発光ダイオードのことです。その優れた性質により、次世代の明かりとして注目されています。サインや大型ディスプレーなど公共の場などで多く使用され、知らず知らずのうちに接してきたLEDですが、白色ダイオードが開発されることで照明にも利用できるようになり、ようやく住宅の照明として商品化され始めています。スーパーパワーLEDといった高出力LEDで明るさを強化した商品もあります。
LEDの特徴として
1.超寿命である… 白熱灯の10倍から20倍程度の寿命があります。吹抜けの天井部分など電球交換の難しい箇所や高齢者などの住まいなどの照明に適しています。
2.コンパクトである… 私は長くキーホルダーにつけて、鍵穴用のライトとして愛用しています。タグのサイズは厚み5~7mm、巾23mm、長さは全ての部分を含んでも35mm程度で、驚くほど明るいです。
3.低発熱である… 低発熱なので、狭いところに納めるのに有利であり、絵画などを照らすのにも適しています。
4.省エネである… LEDの懐中電灯は狭い隙間の奥まで強い光が届きます。光に指向性があるために、効率的に対象を照らすことができます。電気代も大幅に節約できます。
●リラクゼーションと明かり
今までも何度か、ヨーロッパと日本の明かりの考え方の違いについて述べましたが、明かりを楽しむ面でいうと日本の明かりはまだ少し単調なように感じます。戦後日本は、三種の神器(テシビ・冷蔵庫・電気洗濯機)に始まって、住まいに関わる様々なトレンドと共に歩んできました。平成の三種の神器は、デジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型テレビだそうですが、もはやこれも過去のものとなりつつあります。三種の神器以外にも、バリアフリー・高気密高断熱・シックハウス症候群・環境共生などに配慮することが住まいのトレンドとして浮上し、今後のトレンドは、「快適、心地よさ」といわれています。
◇揺らぎとリラクゼーション
規則的に繰り返す動きや模様、音とは異なり、それらのわずかな揺らぎが人に心地よさを与えることを「1/fの効果」と言います。「エクステリアの基本-3」で植物の癒し効果について説明しましたが、明かりに関しても考え方は同じです。たとえば、暖炉の火やキャンドルの炎は眺めていると本当に心が落ち着いてきます。機械的でない心地良い揺らぎが人に安らぎをもたらすのです。とはいえ、こうした揺らぎの効果を楽しむには、室内の照明を自在にコントロールする必要があります。調光機能のない天井灯であれば、電源を消すことしかできません。これではあまりにも暗くなってしまい、現実的ではありません。「1室多灯」という考え方を活用しながら照明計画を十分にして、安らぎと潤いのある生活を目指しましょう。
◇揺らぎとバスタイムを演出する
インターネット上のコミュニティなどをのぞいてみると、日本人は本当にお風呂好きな人が多いことに気がつきます。バスタイムは、これからのトレンドキーワードである「快適、心地よさ」にとって大切なポイントです。湯船にライトを浮かして楽しんだり、テレビを見たり、ミストサウナに包まれたり…と、バスタイムの過ごし方も多様化しているようです。浴室は水を使う場所だけに照明の選択には限りがありますが、脱衣室の照明や浴室ドアを工夫してコントロールする方法も考えられます。
●住まいのIT化と照明
プロジェクタ-の利用やテレビの大型化に伴い、家庭でも大画面でテレビやDVDを楽しむ時代になりました。そこで当然、照明計画もそれらに合わせた機能が求められます。また、電化商品の発展だけでなく、就業形態の多様化に応じて住まいの用途も広がっています。自宅勤務の人や生涯仕事を継続する女性もますます増え、限られた時間内でてきぱきと仕事や家事をこなせる空間作りが必要とされ始めています。こうしたレジャーや業務といった用途に合わせて、住まいは以前より明るさが求められているようです。また、外出先から電気の点滅を操作できるようにするなど、照明にも防犯上の配慮が必要となります。
照明器具のデザインや明るさだけを表現手段とするのではなく、「光そのものでインテリアを表現していく」という風に考えれば、時代のニーズにあった機能的で安らぎのある空間構成ができるでしょう。
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.interblog.jp/bizmt/mt-tb.cgi/662