
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
Q:以前テレビで、泥棒に入りやすい敷地に関しての解説を見たことがあります。当時はアパート住まいだったので、それほど関心がありませんでしたが、庭を造るにあたって自分でできる工夫はどのようなものがありますか?
A:侵入防止は細かな配慮の積み重ねですので、住み手の対策しだいでリスクをかなり少なくすることができます。鍵や開口部の性能のアップ、時として様々な警報装置や専門の警備会社との契約なども必要なことがありますが、それ以上に日々の注意が大切です。
建物内部に関しては、各部の建材メーカーがそれぞれ商品を工夫し、防犯面や安全面の設計手法が確立しています。しかし、屋外や外構に関しては、防犯対策も安全対策も敷地の条件によって全く異なります。建物のように規格化やマニュアル化が難しく、個別設計となるために、個々の設計配慮や住み手の気配りで、性能の差が大きく出てしまいます。注意すべきポイントを考えてみましょう。
●危険防止のポイント
建物の外部は必ずしも安全につくられているとは限りません。崖や斜面・擁壁(ようへき)など、高齢者にとっては少しの段差もケガの元になることがあります。敷地内、および周辺の危険部分を外構計画でカバーするポイントを考えてみます。
◇建物の外部の保護…
出窓の角やサッシのエッジ、その他の金物類など、建物の外部には危険な箇所が少なくありません。室内側からは安全を考慮してある商品も、外部は意外に危険がいっぱいです。ちょうど子供の頭の位置に角がある場合も少なくなく、夢中で走り回っていて、角にぶつかる危険は大いにあります。走り回れないように、低木でカバーしてしまうか、扉をつけて侵入できないようにするといった配慮が必要です。また、自分でゴム板などを加工して、危険な箇所にカバーしても良いでしょう。建物が完成したら、外部を細かくチェックして対策を立ててください。子供の目線でチェックすると効果的です。
◇高低差…
崖や擁壁(ようへき)の上など、転落したら危険な場所にあるフェンスなどは、特に注意が必要です。充分な高さがあることを注意した上で、フェンスの存在に頼らず、小さな気配りをすることが大切です。特に小さな子供がいる場合は、とげのあるツル性植物をフェンスにはわせたり、踏み台になるものを置かないように配慮するなど、フェンスのそばに近づかせない工夫をすると良いでしょう。
◇段差…
平らな敷地でも、門や玄関ポーチには 2~3段の階段があるのが一般的です。数段といえども、軽視すると、ねんざや骨折の元になります。特に高齢者の骨折は、そのまま寝たきりにつながる危険があります。階段の各段の高さを必ず一定にし、床面は雨の日でも滑らない素材を選びます。バリアフリー化で室内の手すりが一般化しましたが、まだまだ屋外への配慮は不足しているようです。屋外にも手すりをつけたり、余裕があれば階段でなくスロープにしたり、室内同様に安全面を考えることが大切です。
◇防災面のチェック…
大きな自然災害や火災に関しては、都会の住宅の外構計画でカバーできる範囲は少ないかもしれません。ただし、塀などを設けない角地(かどち)の場合、交通車両による危険防止の配慮など、検討すべき事項もいろいろ考えられます。街灯が充分でなければ、玄関灯や反射板、ガードポールを工夫します。
また、地域の水害も要チェックです。下水管が溢れる水害の防止はなかなか難しいですが、河川のはんらんの場合は、短時間であれば外構で浸水を防ぐことも不可能ではありません。水位以上の高さの擁壁(ようへき)をめぐらせ、門などには防潮版(ぼうちょうばん)を取り付けられるようにして(地下鉄の入口の両脇にある溝など)、土嚢を用意しておくのがお勧めです。新築の場合は、過去の水害の浸水面より高い部分に1階の床を設定するのが理想的です。
●防犯のポイント
防犯面についても、いくつか注意点をあげてみましょう。いろいろな防犯機器の性能だけでなく、ソフト面や日々の管理も大きな意味を持ちます。
◇道路からの死角をなくす…
高い塀で敷地内を囲んでしまうと、いったん中に侵入されたとたん、外からは見えなくなってしまいます。この場合、侵入者は怪しまれず、ゆっくり鍵を壊すことができます。プライバシーの配慮も大切ですが、侵入しやすい開口部は、道路から見通せるようにしておきましょう。
◇周囲を回遊できないようにする…逃げる方向が2つ以上確保されていると格段に侵入しやすくなります。建物の周囲をぐるりと一巡できると、逃げ道は多くなるので、鍵のある扉や柵などで塞いで回遊できないようにします。
◇2階の窓やバルコニーへの足掛かりをなくす…
屋外機器類、よじ登れる高い木、隣家との塀、不用意に置かれている脚立、自転車、車、物置き、物干しの支柱、面格子、雨どいなど、よく見ると建物の外部には、結構足掛かりとなるものが少なくありません。都会など密集している地域は、隣の建物や周囲の機器から侵入されることも考えられます。
◇照明の工夫…
夜間は、不在と分かると侵入しやすい環境となります。外灯や人感センサーつきの門・玄関灯も有効とされています。
◇音の工夫…
建物の裏側や、どうしても人目につきにくい場所は、コンクリートで固めたりせずに、砂利など「音のするもの」を敷き詰めておくと効果的です。
◇防犯機器…
一度侵入された住まいは、続けて被害にあうことが少なくありません。2度目の侵入は、間取りや住まいのどこに何があるか等の勝手が分かっているだけに、侵入者としてもリスクが少なくなります。前回の手口を検証し、警察のアドバイスを受けながら、何らかの対策を講じた方が良いでしょう。自分でできる工夫を全て行った上で、必要に応じてカメラや警報装置などの防犯機器を検討することも考えましょう。
犯罪防止のためには、日々の管理や地域との連帯など「ソフト面の対策」も効果が高いといえます。特に、ご近所との連帯は効果大です。旅行に行く前に一声かけて出かければ、留守の間、隣家に物音がしたとき怪しんでくれます。できるだけ多くの近隣住民と顔見知りになり、不審者がうろうろできない環境作りをすることも大切でしょう。
なお、防犯対策は、警視庁(東京都の場合)などのホームページも参考になるのでご覧ください。
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