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『日本の伝統スタイルと現代-3』 半戸外の空間の意味[question]

「半戸外の空間」といえば、日本人は独特のニュアンスを感じるのではないでしょうか。
「ある種のさわやかさ」、「ちょっとした、ささやかな非日常のための空間」、「自然を感じる空間」、「くつろぎの時間」、「楽しいお付合いの場」・・・それらをひっくるめた独特の雰囲気を「半戸外の空間」は持っています。これらの「半戸外」が持つ役割を現代の住まいに上手に生かすと、楽しい住まいや暮らしに結びつくように思います。「エクステリアの基本-2」でも半戸外についてまとめましたが、今回は、少し別の角度から考えてみたいと思います。

半戸外の空間とは
半戸外の空間の定義は、人によって受け取り方に違いがあるかもしれませんが、日本の住まいに置き換えると、「サッシの外にある濡れ縁部分」「屋内空間であるが大きなサッシがついていて開放的な縁側」「デッキやバルコニー、テラス」などが上げられます。中庭なども半戸外のイメージに近いものがあります。つまり、下記のような定義づけができます。

1. 屋外であるが庇(ひさし)がかかっている部分
2. 庇(ひさし)がなくても室内の空間の延長として利用したりするスペース
3. 屋内空間でも、サッシなどを大きく開け放すことができ、開放感あふれるスペース
また、塀のない下町的地域であれば、暑い夏は縁台などを持ち出して、路地もまた半戸外として活用していました。江戸時代の長屋の井戸端などの共同スペースも、感覚的には似たものがあります。
4. コミュニケーションの場
現代のように塀や門で侵入を拒絶した作りでなかった時代は、濡れ縁や縁側が気軽な接客の場でした。


半戸外の空間の成り立ち
そもそも、このような空間は、日本独自のものなのでしょうか。ヨーロッパには中庭の文化や回廊などがあり、アメリカでも農家などの作りは玄関前が庇(ひさし)のあるデッキになっているのをTVなどでよく見かけます。しかし、それぞれ日本の半戸外の概念とは、少しニュアンスが違うように思います。

日本は雨の多い気候のため、建物を雨から守るのに庇(ひさし)を大きく伸ばしました。そして、庇(ひさし)の下の空間を半戸外の空間として活用してきたのです。また、ヨーロッパの石造りの建物と違って元々開放的な作りで、多湿気候のため夏は建具を大きく開放して家の中に空気を通します。「日本の文化とインテリア-2」で解説したとおり、窓は間戸であり、柱と柱の間の戸という意味です。壁をくりぬくヨーロッパの窓とは概念が大きく異なります。住まいの外と内の境にある戸は、各部屋の間にある「ふすま」と、欧米の建物ほどの決定的な違いはないように思います。つまり、外もまた一つの空間である感覚が半戸外を自然に作り出しているのではないかと思います。


現代の半戸外の空間の演出
現代の日本、特に都市部では敷地に余裕がなく、庇(ひさし)を大きく伸ばせば、その分、隣地の境界線から建物を離さなくてはならず、敷地を有効に利用できなくなります。建物の面積も小さくせざるを得ないかもしれません。したがって、庇(ひさし)の出は短くなる一方です。また、面積的にも庭に面した縁側を作る余裕もなくなりつつあり、廊下のような非居室部分は省いて居室をできるだけ広くとる傾向にあります。また、大きく開口部を開け放したところで、その向こうに豊かな庭が広がっているわけでもありません。このような状況で、日本の伝統的な半戸外の空間の良さをどのように取り入れたらよいでしょう。

建物をL字形にして、極力庭を一箇所にまとめ、室内と連動させてアウトドアリビングなど半戸外の空間を演出しても楽しいものですが、半戸外のコミュニケーション機能に注目すれば、もっと暮らしの楽しみが広がるでしょう。
最近では、防犯や防災面で地域の連携が果たす役割が重要視されています。道路からの死角を作らないように塀は見通しの良いものが薦められていますが、その反面住まいの状況も把握しやすくなります。戸外のスペースを活性化し、花を丹精したり、テーブルやベンチなどを配置したりするなど、隙をなくす努力も大切です。
その点、ご近所同士の日頃のお付合いから生まれる連携はありがたいものです。「玄関から靴を脱いで」の正式な訪問ではなく、「靴のまま半戸外の空間で、気軽に」のような靴を脱がない、ちょっとしたふれあいを見直したいものです。そのために半戸外の空間を再認識し、もっと活用しても良いと思います。

その地域や周辺環境によっても、住まいの作りや人の付き合い方も様々です。住まいづくりの前に地域を探検してみてはいかがでしょうか。その地域に適した半戸外の工夫は、周辺を探索しているといろいろ発見できるのではないかと思います。

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