MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

『日本の食文化と住まい-3』 住まいと食の安全[question]

現在、食の安全や食糧の供給に関する問題が、大きな課題となっていますね。バターなどの特定の食材が不足し、食料需要の増加や石油価格の高騰、地球温暖化の影響で食料価格も確実に上昇しています。食料自給率の低い日本では、今や「食」の問題は真剣に考え方を見直すべき重要な局面にあるといえます。そこで今回は、日本の伝統的な食文化と住まいの密接な関係についてご紹介していきます。

食の安全

みなさんは、食材を購入するとき、産地や化学薬品、消費・賞味期限など、商品ラベルを確認していますか。産地偽造などの不正も心配ですが、やはり安全な食事を意識するのであれば外食やできあいのおかずではなく、素材から家で料理したものを食するほうが賢明だと思います。また、食料価格の上昇に個人が対抗するには、食材を余すことなく使ったり、安い時にまとめ買いをして新鮮な状態で保存したり、保存食に加工するといった工夫も必要でしょう。昔は漬物などの保存食はもちろん、味噌や醤油も自分の家で作っていたそうです。それも冷蔵庫などの機械に頼らずに、温度や湿度の力を利用して、安全な食材を作り保存する努力が続けられてきました。以前のような暮らしや住まいに戻ることは難しいですが、現代の暮らしに適したかたちで、うまく食の安全を確保していくこともできるのではないでしょうか。


住まいと食糧の保存

このコラムを書いているときに、イタリアのアルプス地方の、とある村の紹介を知る機会がありました。住まいはその村の伝統的な住居スタイルで、雪が深いため1階が石造り、2階と3階が木造となっていました。1階はジャガイモなどの貯蔵庫で、1年分の食糧が貯蔵できるそうです。パンについては独特で、なんと1年に1回しか焼かず、肉類と一緒に3階の屋根部分につるして保存し、1年間にわたってそれを食べ続けるそうです。まさに住まいの構造と「食」は密接に関連しているようですね。

日本の気候にあっても、ほとんどの野菜は、スライスしてネットやかごにつるしておけば、簡単に乾燥チップにすることができます。まとめ買いして余った野菜を、冷蔵庫に頼らずに食材が保存できるのです。ピクルスのように塩漬けにしたり、ジャムや果実酒に加工すれば、長期間の保存が可能になります。

少し考えてみるだけで、それぞれの地域や現代の住まいのニーズに適した食糧の保存方法や場所が見つかるはずです。ただし、常温で保存可能なものも、それなりのスペースは必要です。コンビニ弁当の暮らしであれば、キッチンはさほど必要がないかもしれませんが、食の安全とコストを考えると、保存のスペースと工夫は、これからの住まいには再考の余地が必要になってくるでしょう。


住まいの工夫

住まいの工夫といっても、必ずしも特別なスペースを確保するというわけではありません。洗濯物の陰干しスペースや軒先、窓の配置を工夫し風通しを良くする、ガレージに工夫を加える、地下収蔵庫を利用するなど、もともと設置予定だったスペースを工夫してみましょう。日本の以前の住まいのような食糧保存方法に学びながら、多目的に活用する方法を考えればそれだけで事足ります。

また薫製器など保存食品を作る機器は、アウトドア料理などの限られた需要だったと思いますが、これからは家庭の調理機器として、優先順位を見直してみると良いかもしれません。

庭の位置付けも重要です。果実が成る木を植えたり、野菜を栽培したり、花が好きであればサンルームなどを設置して一年中ハーブや野菜を育てるのも良いでしょう。花や観葉も兼ねた野菜やハーブを育てるだけで、収穫の量は少なくてもグンとと豊かな食生活を作り出すことができます。根付き野菜のセリや小松菜は、食べた後の根を植えただけで、次々に収穫できるので一度試してみてはいかがでしょうか。


地方の時代といわれながらも、都市部への一極集中の傾向は改善されず、耕されない畑や住む人がいない家屋も少なくありません。今後の住まいと食の関係を考えると、都会に住む人たちに田舎の豊かな自然を楽しんでもらい、そのことによって地方の居住環境の整備を促し、地方を活性化させる「グリーンツーリズム」という理念も忘れてはならないキーワードの一つだと思います。

というのも、これからは「食」という観点から、第2の故郷を用意しておくことも必要になってくると思うからです。安全な作物を心がけている生産者を自分自身の目で確認し、時には農作業を手伝ったり、作物を育てる知識や加工食品の作り方なども習得したりしながら、安全で、美味しい、エコ生活への保険を準備しておくという暮らしかたです。「食の安全」は、国の対策と共に自らの積極的な取り組みが重要です。これからの住まいは、「食」に対する利便性だけでなく、安全面も含めて考える時代だと思います。


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.interblog.jp/bizmt/mt-tb.cgi/695

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)


PAGE TOP