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『長屋の暮らしに学ぶ-2』 共用部分の意味[question]

『長屋の暮らしに学ぶ-1』では、共に暮らすことの意味や共同体の重要性について考えてみました。長屋は、共同の井戸端などが重要な役割を果たしてきたといえますが、残念ながら現代には、これに代替するような場所はそうそう見つかりません。

しかし最近では、パーティールームや集会室などがのあるマンションをしばしば見かけます。共用施設が多いぶん購入費も管理費も高くなりますが、そこには江戸の井戸端にあったような利点もありそうです。付加価値があり、共用部分を持つマンションの多くは戸数の多いマンションですので、多様なコミュニケーションも可能なのではないでしょうか。

私たちは、こうした共用部分をどのように活用すれば、隣人やご近所と良質な共同体を作りだせるのでしょうか。また、共用部分を持たない戸建住宅地では、どのようなコミュニケーションが考えられるでしょうか。

多様なライフスタイルとコミュニケーション

パーティールームやプール、談話室、ロビー、スパといった付加施設に共通のキーワードは、「多様なライフスタイル」と「新たなコミュニケーション」なのではないでしょうか。こうした付加施設の登場は、マンションが本格的に登場してから30年以上経過して、多様なライフスタイルへの対応が迫られているだけでなく、今までのマンションライフに欠けていたコミュニケーションに目を向けた結果なのでしょう。

長期的に施設が有効に活用していけるかは、それらの施設の活用を通じて、独自のコミュニケーションが築けるかにかかっていると思います。これからの集合住宅での暮らしに、共用部分の活用は非常に重要なポイントになります。集会室だけをとってみても、さまざまな活用方法が考えられそうです。

一般的な住民同士では、子どもを通じてのコミュニケーションが多いかもしれません。しかし、築年数の古いマンションでは住民も高齢化し、子どもは巣立ってしまう傾向にあるようです。反面、定年退職すれば家にいる時間が多くなるので、この時期が第2のコミュニケーションが作られるときでしょう。また、高齢化すれば、何かと助け合うことも必要になってくるはずです。ゆくゆくは住民同士で建て替えの時期を乗り越えなければならない時もやってきます。

私の家の例をご紹介しますと、昨年からですが、集会室で定期的に住民同士の交流のサロンがひらかれるようになりました。一緒に手芸のようなことをしたり、カラオケを歌ったり、また、サロンの集まりを軸に地域の名所を尋ねたりする活動を行っています。今までは植木屋に任せきりの敷地内の植栽の手入れも自分達で勉強し、出入りの業者にいろいろ注文を出したりと、定期的に住民が手分けして手入れを行っています。


バーチャル集会室

一方、戸建の住宅街でのコミュニケーションの形成は、どのように考えればよいでしょうか。マンションと異なり代々住み続けることが多いので、その点は強みです。防災や防犯対策など、力をあわせて取り組む必要性も増えていると思います。大規模分譲地の場合は集会所が設置されている場合もありますが、集会所がなくても町内会のホームページなどを作成し、情報交換や連絡事項、近況報告や「不用品譲ります」、「草取りアルバイト募集」といった活動を行う方法も考えられます。中学生や高校生が身近な地域で、高齢者宅の草取りアルバイトをする場面などを想定すると、地域活性化だけでなく、高齢化問題や青少年の問題にも効果的なように思われます。

また、家の前の通りを積極的に活用する方法も考えられます。近年の戸建では、都市近郊でもそれほど大きな敷地は望めません。一つ一つの敷地が小さく、単独では緑あふれる雰囲気は形成しにくいのが現状でしょう。

しかし、一つのつじに面する4軒が協力して、それぞれの敷地の角に木を植えれば、その交叉場所は緑あふれる空間となります。庭に植えるものには好みもあるでしょうが、ツタなどの共通の地被植物類や、何か共通のシンボルツリーを定めて、それぞれの道路に面するところに植えると統一された街区ができ上がります。愛着ある街区と、そうした活動による連帯感が、地域のコミュニティ形成への相乗効果を生み出すのではと期待しています。

共用施設があれば、ただちに楽しい暮らしが手に入るというものではありません。健全な地域社会を作るのは、施設や設備ではなく、その中で暮らす住民一人一人の意識によります。施設そのものに注目するのではなく、自分のライフスタイル、高齢化社会に向けて重要度を増している「共に暮らす」ことの意味などをしっかり捉えることが求められるのです。共同体の中でのあり方は、結局自分の生き方をも問われているわけで、自分のライフスタイルをしっかり見つめなおすことが、共用施設を有効に活用する道だと思います。あくまでも使う側の意識と、地域社会を創造する努力が必要ではないかと思います。 

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