
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
以前、「日本の窓とは間戸である」ということをお話したことがあると思います。この場合の「間」は、柱と柱の間(あいだ)のことを指し、そこに壁ではなく、扉があるからこそ「間戸」となるわけです。住まいは、ある意味、外部から家族や財産を守るシェルターの役割を持っています。そこに開口部を取り付けるかどうか、またどのような開口部とするかは、かなり重要な問題です。日本人に根ざした開口部のイメージと、生活やスタイルの社会の変化について考えてみましょう。
前回、「1間(いっけん)というモジュールは、日本人にとって大変意味のあるものだった」と述べましたが、最近では、「間」という単位さえ知らない方も増えたようです。
少し前まで一室は必ずあった畳の部屋も、今はほとんど見かけなくなり、新築マンションは全室洋間に変わりつつあります。それに伴い、住宅メーカーでの新入社員教育は、日常的に使われていた和室のパーツの名前を教えることから始まるそうです。
例えば、畳寄せ、長押(なげし)、廻り縁、鴨居、欄間など、天井の仕上げの種類が最も基本的なものです。床の間となると、さらに難しくなり、落とし掛け、床柱、床框(とこかまち)をはじめ、材質の種類や建具の種類、バリエーションも加わります。
しかし、今でも「1間の窓(=巾が1間の柱の間隔の中にきっちり納まる窓)」や、「1間半のサッシ」といった言葉は比較的よく使われるのではないでしょうか。実は、「間」という単位は、住まいや暮らしのさまざまなものの基準であり、非常に理にかなったものなのです。
「間」という言葉は、日常的にさまざまな形で使われています。住まいに関する言葉として、長さの「1間」という単位は、日本の家屋のモジュールになっているほどです。また、茶の間・床の間と言うように、部屋やスペースも「間」という言葉で表現します。1間の実際の長さについては、江戸間、中京間、京間、団地サイズなどと、細かく取りざたされるくらいですから、1間のモジュールは日本人にとって大変意味があるのだと思います。そこで今回は、日本の住まいと「間」の関係について、考えてみます。
『長屋の暮らしに学ぶ』シリーズも4回目の最終回となりましたが、考えれば考えるほど長屋の暮らしの良さを再認識させられます。今回は、これからの時代に向けて、長屋の暮らしをヒントに、「共に暮らす」ことをテーマとするコレクティブハウジングの可能性について探ってみます。