MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

『住まいの構造体-1』 基礎[question]

どんなに良い建物でも、地盤や基礎がしっかりしていなければ、まさに砂上の楼閣です。最近では、事前に地盤調査を行う事が一般的になりましたが、残念ながら地盤の知識の浸透に関しては、まだまだ心もとないといわざるを得ません。

市街地の土地は、長年人々が暮らす中で、いろいろ手を加えられてきた可能性があります。以前は畑であったり、ゴミを埋めたりしていた過去があるかもしれません。土は人間の手で一度でも掘り返されると、元には戻りません。地盤調査をして、しっかりした基礎の上に建てたいものです。

地盤・地形と基礎

私たちの祖先は竪穴式住居(たてあなしきじゅうきょ)に住んでいました。各地に遺跡が発掘され、見学したことのある方も多いと思います。しかし、どうしてそこに遺跡があるとわかるのでしょうか。柱があったところや円形の竪穴部分の土が軟らかかったり、まわりの土と違っていたりするからではないでしょうか。

何千年後でも、人間が手を加えた形跡がわかるということは、いったん加工されると土は元の固さに戻らないことを意味します。また、大昔は、洪水や山のがけ崩れといった災害の危険性がある場所から遠く、水場や畑に近い場所を住まいに選んでいました。次第に、人々が集まるようになると、神社仏閣や有力者の住まいが条件の良い土地を占めました。さらに時代を経て江戸時代のように人口が集中すると、海を埋め立てて住宅地を確保するようになったのです。

条件の悪い土地に住まねばならないのであれば、それ相応の対処が必要です。まずは基礎をどのようにすればいいか地盤調査を行います。同時に、地形などから災害の予測も重要です。最近は自治体がハザードマップを発行しています。ほんの少し基礎を高くするだけで集中豪雨による冠水を防げるなら、土盛りや基礎を嵩上げ(かさあげ)して、1階の床面まで水が達しないように対処できます。河川のはんらんの危険がある場合は、流されない建物の構造を考えなくてはなりません。また、現在は平らな土地であっても、用水路や谷を埋め立てた土地かもしれないからです。そうした土地は地盤が弱いだけでなく、元の地盤が斜面になっていますので、斜面の低い方が余計に沈下し、建物が傾く要因となりがちです。


建物の重さと基礎

建物の重さは、積雪荷重と自重(建物自体の重さ)、積載荷重(人や中に置く家具や設備の重さ)の3つで決まります。降雪量は昔と同じですが、建物の自重と積載加重は格段に重くなっています。昔の建物は平屋も多く、作りも簡素で、ほとんど家具らしきものがありませんでした。屋根だけは瓦を土で固定した昔より軽くなっていますが、建物が2~3階建てになり、鉄骨やコンクリート製の住宅もあります。中に入れる家具や設備が重いために、それを支えるための構造材もさらに太く重くする必要があります。また、現代の住まいにある家具や家電製品、その他ほとんどのものは以前にはなかったものでしょう。以前の建物は、現在の住まいと比較して格段に軽い建物だったのです。最近の建物は防火性能・防犯性能・断熱気密性能等が問われますので、どうしても重装備になりがちです。

重い建物を支えるには、より広い面積で建物を支える(=基礎の巾を広くする)か、固い地盤まで直接足を伸ばす(=杭を打つ)か、地面を固くする(=地盤改良)必要があります。しかし、敷地の状況や地盤の状況を考えあわせて最良の方法を選びます。しかし、地盤改良を行うと、将来建替え時に地下室を作りたいと思っても簡単ではなくなります。造成地などでよく見かける擁壁(ようへき)などは、100年程度ごとに作りなおす必要があり、また擁壁を作る際に、周囲の土は、いったん掘削・埋め戻しをしますので、地面は建物を支える力を失ってしまいます。建物を建てる場合は、永久に杭などの地業工事費用がかかることになります。一度土地に手を加えると、後々まで制約を受け費用もかかることになりますので、慎重さが必要です。


基礎と間取り

建物の耐震性能を高めるためには、しっかりした構造材と基礎、さらに金具の適正な利用はもちろん、耐力壁をバランスよく配置するなどで耐震性能が違ってきます。阪神淡路大震災のときには、全く同じ間取りで隣同士の建売住宅が、その後のリフォームによる壁の変化だけで、全壊としっかり形をとどめている家とに分かれてしまったそうです。

また、1階に重いものを配置し、2階部分にかかる重さを軽くすると安定します。都市部では、採光や通風を考えて2階にリビングを設置する場合があります。1階に間仕切りが細かくなる寝室を取ると、1階の壁量が増すだけでなく、壁の重さも1階に回せます。寝室の近くには浴室を設けますが、水を張ると重くなる浴室を2階に設ける必要がありません。2階リビングプランは耐震的にも合理的な間取りです。また不用品の処分も大切です。不用品のために建物が重くなったり、バランスが悪くなったり、地震の際に建物を損傷したり、家族がケガなどということは避けたいものです。


今は、建物が100年もつ時代です。その間、基礎はしっかり建物を支え続けてもらわなくてはなりません。災害や地形などにも留意し、基礎の設計を行う事が大切です。


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