MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

『住まいの構造体-2』 架構[question]

古来、日本の家はほとんど構造体のものしかありませんでした。上を見上げれば美しい自然な曲線を描く梁(はり)が見え、柱はそのまま建具の枠も兼ねていたのです。

美しい架構(柱や梁で構成された骨組み)は、樹木の命や匠の仕事等に対する畏敬の念を育み、自然と家を大切に維持管理することにつながります。都市部では防火的な観点などから制約を受ける場合もあり、そのまま取り入れるのは難しいかもしれませんが、伝統的な家屋の良さは少しでも受け継ぎたいものです。

美しい日本の架構

大工は木材の習性や生育過程で作られた特徴を熟知し、仕口(2つ以上の部材を組み合わせて接合する方法)を刻みます。曲がった木はその特徴を生かして、適材適所構造材として力を存分に発揮できるように配置します。当初隙間が開いていても、次第に建物の重みやその木材の性質などにより、やがて隙間はきっちり納まり構造体として力を発揮します。在来工法(土台や柱、梁などを用いて組み立てられる日本伝統的な建築工法のこと)で建てられた新築住宅に住むと、最初は木材がきしむ音が聞こえるそうです。熟練した匠が作り出す架構は、美しいだけでなく、何か静謐(せいひつ)で豊かな空気を生み出します。

下記は飛騨高山の吉島家の架構です。子供のころに初めて訪れたとき、圧倒され、しばし見とれました。日々大切に維持管理され続けてきた建物特有の品格があるだけでなく、むしろ住み手が維持管理をしないではいられない威厳を感じます。

吉島家の内部(高山市観光情報より)
http://www.hida.jp/cgi-bin/kankou/sigview.cgi?admin=contents_view&id=104420194356&sig=1

構造体

「貫」構造の見直し

「貫」とは、柱など垂直の構造体に穴をあけて、水平につなぐ部材のことです。上記の写真を見ればわかると思うのですが、梁の上の束同士を横につないでいる部材のことです。少し専門的になりますが、伝統的な工法の良さを貫という部材を通して説明してみたいと思います。垂直の構造体に空けた穴は、貫を通した後固定されますが、地震などの力を受けた時、力に逆らわずゆったりとエネルギーを吸収します。地震の後に変形した貫の構造、骨組みは、軽微な工具により元に戻し再使用が可能です。

貫構造の優れた性質は、以前から再認識されてはいましたが、1999年より3年間にわたり(社)日本建築学会「木構造と木造文化の再構築」で木造軸組(筋かい付、貫き土塗壁付、構造用合板壁付)の実大振動台実験および貫(中間、差鴨居他)などの静的加力実験が行われ、木造の特質が高く評価されました。


シンプルなスケルトンとしての住まい

日本の伝統的な工法のように、構造が現れている住まいは、住み手が日常的に建物の様子を感知でき、必要なときに必要な保全を容易に取ることができます。同時に伝統ある工法を使用することによって、安定した品質を確保でき、又地場の産業を活用することによって、住み手も工務店も共に子から孫へと住まいを見守ることが可能となります。また、柱や梁に対する日本人特有の思い入れが建物を長持ちさせ、構造体をいつも見ている暮しが、適切な保全を推進させたのです。


遮音・防音・断熱・…と現代の住まいは重装備になるばかり。「同じ家族が住む家の上下階の遮音は不要」、「1階天井は不要」などと考える家族もあるはずです。ホコリを避けた生活が、アトピーへの耐性を失わせているという研究もあるほど。今後は、装備に頼りすぎたイタチゴッコの状態から脱却し、不必要な仕様や設備に無駄な費用をかけず、住まいを考えていくこともできそうです。重装備・重設備の厚着から、薄着の省エネへと伝統的な日本の住まいをもう一度見直したいものです。

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