MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

『住まいの構造体-4』 屋根・外壁[question]

「住まいの構造体」の最終回は、屋根と外壁についてです。
この2つは重要な構造体であるだけでなく、気候風土や火災などから建物を守る大切な役割があります。そして、屋根と外壁は、外部のデザインを構成する重要な要素。それぞれ、どのように影響しあっているのでしょうか。

気候風土と屋根と暮らし

どの国でも気候風土と建物の構造には、密接な関係があります。雨の多い日本では、建築中に雨の日があると、大切な部材がぬれてしまいますので、とにかく柱と梁を大急ぎで建てて屋根をかけてしまいます。その後の作業は屋根の下で行うことができるからです。一方で、石造りの建物は、下から順々に作り上げるしかなく、屋根は最後です。
日本では、屋根の庇(ひさし)を深くして建物を守ります。当然庇の下は、半戸外として独自の暮らしの文化を作り出しました。庇が深ければ、縁側の戸を開けたままでも、風が無ければ建物の中まで雨が吹き込んでくることはありません。庭と一体感を感じる日本人の感性は、庇が大きく影響しているかもしれません。

図は代表的な屋根の形状です。
屋根2
切妻屋根を見ると、桁と妻では庇の形や位置が異なっています。妻部分は屋根との距離が遠くなります。また構造上、妻面の庇を深くすることは難しいので、妻面はどうしても雨に濡れやすくなります。従って妻面に開放的な縁側などは適しません。
屋根1
反対に雪国で桁面に玄関を作ればどうなるでしょうか。屋根から落ちてきた雪で、ドアの開閉ばかりか出入りするのも大変です。また切妻や入母屋の場合は、小屋裏に光を取り入れたり、換気の窓を開けたりはでき、部屋としての利用も可能です。しかし寄棟の場合は、光はもちろん、天井裏の換気も軒裏や棟に特別な工夫が必要となります。屋根の形は気候風土や暮らしの形に密接に結びついていました。


街道の家並み

昔の宿場町を保存している地区に行くと、実に調和が取れていて美しい家並みに見入ります。折り重なったような屋根も美しいのですが、その地方独特の窓格子が連なっている風景にも落ち着きがあります。屋根や建物の形が気候風土や暮らしに密接に結びついていたなら、同じ土地の建物は一定の法則の元に建てられ、美しい街並みを形成するのは当然かもしれません。建物の性能が良くなり、現代の建物が単体で気ままに建てられてしまっているのは、落ち着いた街並みを形成する上では少し残念な部分です。街並みに溶け込む建物のデザインはもちろんですが、地域ごとの街並みづくりの取り組みが大切になってくる時代のようです。


屋根と外壁のパーツあれこれ

屋根や外壁の意匠に、それぞれどのような意味があったのか、屋根や外壁の意匠やそれに使われる材料の種類は非常に多いのでとても説明しきれませんが、美濃市美濃町の伝統的建造物保存地区を例にとっていくつか紹介してみたいと思います。

うだつ・・・
「うだつが上がらない」という言葉があります。「うだつ」とは写真のように、防火壁の役割がありました。うだつを高く上げれば、当然防火の性能は向上しますが、その分費用もかかります。その昔、商家は格式を誇示するためにうだつを高く上げていたのです。そこから、「うだつが上がらない」とは、成果が上がらずに、いつまでも低迷している状態を表すようになったようです。

犬矢来・・・
建物の軒下部分を「犬走り」と呼びます。地面に近いこの部分の外壁が汚れたり損傷したりすることから保護するためのものです。駒寄せも似たような役割のものです。

格子・・・
遠くから眺めると街並みは屋根の連なりの美しさが際立ちますが、その場に行くと写真のように外壁の意匠が目に入ります。特に格子のデザインは、その地方独自のものがあるばかりでなく、必要とする機能に見合ったバリエーションがあります。格子の名前にもいろいろあり、糸屋格子・炭屋格子・米屋格子など、商売に関する名前がついているものもあります。たとえば炭屋格子は、炭の粉が外に飛ばないように隙間が小さく作られ、米屋格子は、重い米俵にあたっても壊れない頑丈な作りとなっています。京都のお茶屋などで見るのは、繊細な糸屋格子でしょうか。写真のものは、はっきり見えませんが幅広で頑丈そうですので米屋格子に類するものかもしれません。

パーツ

美濃市のHPより
http://www.city.mino.gifu.jp/view.rbz?nd=507&ik=3&pnp=507&cd=261
http://www.city.mino.gifu.jp/view.rbz?nd=507&ik=3&pnp=507&cd=240

旅行する時、建物の意匠の中からその地方の暮らしを探ると、より楽しいものになると思います。


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