
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
「SOHOスペースを活用する」の最終回は、少し本格的に自宅で仕事をするケースについて考えてみます。
単に一定範囲の仕事をこなすだけではなく、事業を次第に大きくしたいという場合や、仕事上の来客もあるという場合などは、やはり多少の工夫が必要となるでしょう。
◇打ち合わせスペースの考え方
仕事上のやりとりの多くはメールで済ませられたとしても、やはり打ち合わせの場所はあった方が便利です。
ポイントとなるのは、「居住スペースとの分離」と「トイレの配置」です。来客がある時間帯は家族の動線と来客の動線が交わらないように、ルートの設計に注意しましょう。
しかし、せっかく打ち合わせスペースが居住スペースと分離していても、トイレが奥にあると、結局居住スペースをさらけ出すことになりかねません。また、トイレの手前に洗面脱衣室がない設計がベターです。ドアを間違えやすい上に、脱衣室などはプライベートな部分ですから、見えない方がよいでしょう。
また、来客から仕事上の機密事項を守る工夫も必要です。重要な書類や守秘義務があるもの、実印や取引先のファイルなどは、打ち合わせスペースとは別の場所に保管するように工夫しましょう。
一人で仕事をする場合、電話やお茶の用意などで席をはずすことは頻繁にありますから、他の得意先の情報が目につくところにあるのは好ましくありません。
◇打ち合わせスペースをつくるためのヒント
●玄関近くの部屋をあてる
…玄関から居住用スペースとつながる玄関ホールとは別に、靴のまま入れる部屋があるとベストです。
●庭やアプローチ、道路などから直接入れる部屋をあてる
…ドアがなくても、サッシから出入りできれば十分です。
●勝手口を活用する
…勝手口は、意外に使い勝手がよい仕事上の出入り口となります。主婦が自宅で仕事をする場合、勝手口に連続して仕事スペースがあると家事との両立もしやすく、お茶も出しやすいので便利です。また、家族の動線ともバッティングしません。
◇仕事を行う場所
その日の気分や都合で、好きな場所で仕事ができるのがSOHOの良い点です。無線LANに接続すれば、ノートパソコンを好きなところへ持って行ってもインターネットやプリンター、IP電話などが自在に使用できます。
ただし、メインの仕事スペースは決めておいた方が良いでしょう。メインの仕事スペースを決めたら、電話やパソコン、書類などの保管場所を集約しましょう。あちこちに事務機器が分散するのは望ましくありません。コンセントの位置や配線の方法を、使いやすいよう考えてみましょう。
◇SOHOスペースの応用
仕事が軌道に乗って、別の場所に事務所を借りた後もSOHOスペースがムダになることはありません。書斎はその後も必要でしょうし、当面は自宅に持ち帰って仕事をすることもあるはずです。
家を新築する際、本格的な仕事スペースを用意する場合は、ワンルームアパート仕様にしておく方法もあります。小さなキッチンは便利ですし、専用のトイレもできます。バスルームだけは当初あまり使いませんが、別に事務所を設けたときにはアパートとして貸し出すこともできます。また、高齢の親を引き取ったり、成人した子供の居住空間としたり、応用範囲は広がるでしょう。
今や多様な働き方が可能な時代となり、女性の社会進出の高まりとともに、専業主婦というスタイルが生涯収支上、実情に合わなくなってきていることは事実です。また、リストラや倒産など想定外の事態で収入が途絶えることも考えられます。これらのリスクを低減するためのサイドビジネスという視点が生まれ、大人も勉強が求められる時代であることを考えれば、SOHOはこれからの時代の住まいにますます必要となっていくと思います。
単に今までの住まいの一般的な間取りにSOHOスペースを付加するといった発想ではなく、新しい暮らしや家族のあり方にそったSOHOスペースを考えることが大切なのではないでしょうか。
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