MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

『住まいとユニバーサルデザイン-1』 居室と通路[question]


「ユニバーサルデザイン」という言葉を、“公共の場のデザイン”に関した言葉として耳にされた方も多いと思います。駅や空港やその他公共施設におけるサインなどがよく知られています。わかりやすく、見やすく、そしてそれが意味することを、誰もが一目で理解できるということは、大勢の人々が行き交う場では重要なことです。特に、万一の場合の避難誘導サインを考えてみるとわかりやすいと思います。では、特定の家族の住まいにおけるユニバーサルデザインとは、どのようなものなのでしょうか。


ユニバーサルデザインとは?


◇ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザインとは、老若男女、健常者も障害者も快適に利用できることを目指して提唱されたものです。“万人にやさしいデザイン”とも言えるでしょう。この「やさしい」という言葉の幅広さが、ユニバーサルデザインの本質を的確に表しているように思います。「わかりやすいやさしさ」、「ソフトな形のやさしさ」、「安心・安全のやさしさ」、「万人が利用しやすいやさしさ」…やさしさという言葉が持つ広がりは、それを追求する範囲の広さを物語っています。

また前々回お話したように、「長期優良住宅」に関する法律が本年度から施行されましたが、200年間もの耐用年数を有し、いろいろな人が住むことになる住まいにおいて、ユニバーサルデザインはますます重要なポイントとなるでしょう。住まいとは、赤ちゃんからお年寄りまで、また元気な人から具合の悪い人まで、さまざまな人が日々生活する場なのです。

日本では、「バリアフリー」という概念が先行して一般化しました。バリアフリーとは文字通り「バリア=障害」を取り除くという意味です。日本語の一般的な解釈だとやさしさの追及は広く、さまざまな障害を取り除くことにもつながりますので、似たようなイメージですがより限定された意味合いで使われています。

ユニバーサルデザインとは、人間の行動や判断に対して考察していくものです。例えば「見る」という行動一つに対して、子供でもお年寄りでも、どんな人でも見やすく・見間違わない・疲れないデザインを考えていかなければなりません。わかりやすくするために部位別に例を挙げて考えてみましょう。


◇通路とユニバーサルデザイン

<廊下>
廊下とはどのような場所でしょうか。家族全員が使う、通行を目的とした場所ですが、一般的に暗くて狭くなりがちです。この「暗い」に対しては、極力自然光を取り入れるように設計する他、夜間のお年寄りの通行を考え、暗くても安全なようにフットライトや手すりを設置することなどが考えられます。また「狭い」に対しては、車椅子でも楽に通行できる広さや、突然のドアの開閉に対する安全など、工夫は多岐に渡ります。
ここでは、バリアフリーもデザインの要素となります。通行に関しては、もちろん滑らない床材、子供が転んでもケガをしないように角となる部分の材質も考慮する必要があります。

<玄関ホール>
基本的に廊下と同じですが、靴を脱いで生活する日本では、段差が発生する箇所です。上框を境としてきちんと認識できる色や素材とする他、バリアフリー的な工夫が重要となる部位です。

<階段>
勾配を緩やかにする、転倒してしまった場合の危険に備えて一直線にしないなどの安全配慮の他に、年をとっても楽に電球の交換ができることも、忘れがちですが大切なポイントです。


通路とユニバーサルデザイン


◇居室とユニバーサルデザイン

<リビング・ダイニング>
食事を取る・団らんする・勉強する・仕事をする・テレビやビデオを見る・趣味の時間を過ごすなど、リビング・ダイニングでの活動は広範囲です。当然それに必要な家具で埋まりがちですが、昔の茶の間は茶箪笥と折りたたみのちゃぶ台だけと、とてもシンプルでした。不要なものは置かない、なるべく兼用する、システム家具などに組み込むなど、部屋をすっきりさせることがまず先決です。幼児が歩き回っても安全で、車椅子でも自在に動ける整理された室内が理想的です。みなさんのお宅のリビングはどうでしょうか。

<子供部屋>
狭い部屋にベッドと机、本棚などがレイアウトされます。家具の配置によっては、窓やバルコニーからの転落の危険性もありますので、慎重に考えたいものです。また、子供はあっという間に成長しますので、イスや机は成長に合わせて調節できるものがよいでしょう。子供のときだけでなく、大人になって巣立つまで、快適に暮らせることが大切です。

<主寝室>
建て替え希望のお客さまと話をしていたとき、新婚時代の話として、『夫に洗面所に鏡を取り付けるように頼んだところ、背の高い夫は妻の背丈より高いところに取り付けてしまい、憤慨した』という話を聞きました。二人だけの部屋でも、意外に使い勝手に差が出てくるものです。また、高齢になったら居住の中心になる場合もありますので、コンセントやスイッチの位置や数、室内の機能なども長期的観点で考えたいものです。


居室とユニバーサルデザイン


昔から、日本の家屋は木で作られていました。床には畳や柔らかい木材、建具にも木材や障子紙が使われ、材質に統一性がありました。また、身体のサイズにあわせた1間とか3尺、1坪などのモデュールで統一され、ある意味では「やさしい」住まいや暮らしだったと言ってよいでしょう。

その後、工業製品が住まいの中に登場し、室内にもさまざまな家電や家具が置かれるようになりました。モノがあふれるようになり、住まいは統一性のないものになってしまったのです。それをいかに統一していくかが、これからの課題でしょう。

しかし、人に「やさしい」住まいは、全てデザインでつくるもの、デザインが解決してくれるものと考えるのは間違いです。日々の工夫と配慮で、人に「やさしい」住まいを考える目を持つことも重要です。

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