
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
都市化が進み地価が上昇し、住宅の敷地のサイズは次第に小さくなっています。いまや庭は猫の額のサイズが普通です。必要な居住スペースを確保しようと思うと、戸建住宅も上へ伸びていくしかありません。
また、雨の多い日本の風土では、昔はすばやく雨を建物から排出するために、三角屋根しか考えられませんでしたが、材料や工法の開発が進み、気軽にフラットな「陸屋根」にすることも可能になりました。この貴重な屋根の上のスペースを活用しない手はありません。
◇屋上活用のメリット
屋上活用のメリットは、ひとつではありません。家族の数だけ活用の仕方があるといって良いでしょう。
<断熱効果と地球環境保全>
屋上緑化は、住まいの断熱性能を高め、省エネ効果をもたらすだけでなく、大気の浄化を助け、真夏の建物の表面温度を低下させるなど、周辺環境にも良い影響を与えます。
<第2の庭として活用>
都市部では建物を建てた残りの敷地に、まとまった庭のスペースは望めません。しかし、屋上を活用すれば、まさに、建物の建築面積に相当する庭のスペースが確保でき、ガーデニングや家庭菜園を楽しむことができます。それだけ都会に緑が増えることも意味します。
<太陽と風と見晴らし>
屋上は太陽が溢れ、さわやかな風が通り、見晴らしも良い、またとない空間です。このスペースをどう楽しむかは、ある意味で「いかに暮らすか」そのものとも言えます。自分流の屋上活用方法を見出すことは、豊かな暮らしの創造につながるのです。
◇屋上スペースの楽しみ方
<庭としての機能を楽しむ>
庭園のように目で楽しむのもよし、ガーデニングをして楽しむのもよし。工夫次第で楽しみ方が広がります。家庭菜園のような平面的な構成だけでなく、パーゴラ(棚)につる性の植物をはわせたり、よしずやオーニング(日よけ)を組み合わせたりして、木陰を作り出して立体的に屋上スペースを活用すると、より楽しい空間になります。
<ペットとの暮らしを楽しむ>
屋上は小さなドッグランにもなります。外にも開かれているため、人間とペットとのストレス解消の場に最適です。
<リビング・ダイニングの機能を楽しむ>
クーラーの効いた室内とはまた違った、屋外のアウトドアリビングやダイニングとして積極的に屋上を活用すると生活に変化が出ます。バーベキューをしたり、昔の下町の暮らしのように、縁台を出して浴衣で風呂あがりのビールを楽しんだり…。
また、デッキチェアに寝そべって星空を見るなど、楽しみ方はいろいろあります。虫除け効果のあるハーブを植えておくなど、機能的な工夫を組み合わせると一石二鳥です。
<趣味やリフレッシュの場として楽しむ>
ちょっと贅沢ですが、ジャグジーや露天風呂などを楽しむこともできます。お風呂好きの日本人は、お風呂への思い入れが強いものです。
屋外でなくとも、ペントハウスに開放的な浴室を設置し、屋上の緑を眺めながら、半戸外の気分で入浴できるような造りも可能です。
◇屋上を楽しむための機能
屋上を楽しむためには必要な設備がしっかり考えられていることが大切です。
<給排水・電気設備>
給水設備と雨水以外の排水設備が必要なのはもちろんですが、照明を設置することなどを考えれば、コンセントの配置も大切です。ちょっとした灯篭のような雰囲気重視の照明、夜の屋上を楽しむための照明、調理などに必要な電源など…何をどう楽しむかで、必要な設備がかなり違ってきます。
<道具類の収納>
忘れがちですが、意外に難しいのが、屋上の収納です。ガーデニング、ペットとの時間、屋外での食事などを楽しむためにはそれぞれ必要な道具があります。屋上の清掃だけを考えても、いろいろな道具が必要でしょう。
これらをいちいち下から運んでくるのは面倒ですし、屋上に放置したり、コンテナなどの簡易収納に納めたりすると、せっかくの屋上スペースも雑然としてしまいます。
さらに、軽量のものは強風で飛ばされる可能性もあり、大変危険です。取り出しやすく機能的で、見た目にもすっきりとした収納の工夫が必要です。
<フック>
壁にフックがあると、とても便利です。朝顔など植物を絡ませるネットを固定したり、オーニングを張ったりするのに活躍します。また、物干しや、ちょっとした道具をかけておくなどの用途にも使えて便利です。
屋上空間は、日々の暮らしの中で、「日常の中の非日常」といえる得難い空間となる要素が満載です。
しかし、建物の屋上に庭を作るには、防水面や荷重面など綿密な設計が重要で、安易に考えてよいものではありません。また植物の知識も必要で、日々の管理にも注意が必要です。
次回は、それらの技術的な問題について考えてみます。
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