
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
住まいがあるということは、私たちに大きな安心を与えてくれます。年金暮らしになった時、すでにローンを払い終わった住まいがあるのと、まだこれから家賃を支払っていかなければならない状況とでは、その安心感が大きく違ってきます。
経済が右肩上がりで安定する時代でなくなった今、住まいを上手に取得することは、これまで以上に重要なポイントとなります。そのためには、住まいに関する法律や、さまざまな税金面の特典も見逃せません。
◇住宅ローン控除
昔からなじみのある住宅ローン控除の額が、今年大幅にアップしました。住宅ローン控除は、直接所得税から差し引かれる「減税」です。しかも今回の改正で、住民税からも控除できるようになりました。また、長期優良住宅を取得する場合は、過去最大の600万円の控除が可能となります。
◇長期優良住宅に関する特別控除
この制度は、長期優良住宅制度と同時に設定されました。長期優良住宅制度は、子供世代の負担を軽減し、建物の耐用年数を高めて、地球資源を保全する目的で設定された制度です。
対象は、住宅ローンを利用しない長期優良住宅取得者で、長期優良住宅にするための性能強化費用の10%相当額を、その年の所得税から控除できます。性能強化費用が1,000万円を超える場合は、1,000万円が限度、その場合の控除額は100万円となります。また、その年に減税しきれなかった場合は翌年に繰り越して減税できます。
◇親からの資金援助
1)贈与税の基礎控除
贈与税の年間の基礎控除額は110万円です。
例えば・・・
父親から70万円
+祖母から30万円
+子供のころから世話になっている近所の老夫婦から10万円
合計 110万円 をその年にもらっても贈与税はかかりません。
夫婦でそれぞれの親から110万円ずつ贈与を受ければ、倍の220万円分の資金が増やせます。
ただし、贈与してもらった金額は、夫婦それぞれの自己資金ですので、住まいの名義の持分もそれに沿ったものとする必要があります。
2)住宅取得資金の贈与の非課税制度
2009年、特定の条件を満たす場合の住宅取得資金の贈与について、500万円の非課税枠が設定されました。これは、2010年12月31日までの時限立法で、直系尊属からの居住用家屋の取得資金のための金銭贈与に限定されます。相続時精算制度と違って課税の繰延べではないので、親に資産があり相続税が発生する場合の贈与については効果的です。
<他の制度との組み合わせ>
贈与税の基礎控除額110万円+住宅取得に関する贈与に対する非課税枠拡大分500万円
=610万円 まで非課税となる。
夫婦それぞれの親から贈与を受けると…
610万円+610万円=最大1220万円の資金が追加できる。
相続時精算課税制度の特別控除(下記参照) 2,500万円+500万円=3,000万円 まで非課税となる。
◇相続時精算課税制度
この制度は2003年1月1日より施行され、非課税枠は2,500万円、それを超える部分は一律20%の税率で課税されるというもので、贈与額が2,500万円になるまで何度でも適用可能です。
利用に際しては税務署への届出が必要で、適用対象者は、贈与者の場合は65歳以上の親、受贈者の場合は20歳以上の子となります。
<メリットと注意点>
・生前に所定の子供に所定の財産を委譲することができる。
・相続人の間でトラブルになることもあるので、贈与に際しては相続発生時の資産配分をよく考えて行う必要がある。
・一旦、相続時精算課税制度を利用すると、現行の贈与税の基礎控除枠(110万円/年)は利用できなくなる。
※3,500万円まで拡大された住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例は、2009年12月31日で終了します。
安心して住宅を取得するには、やはり自己資金を殖やすことが一番です。税制面での特例がある親からの贈与やローン控除なども有効に活用しましょう。
加えて、大切なのは日々の節約です。自己資金を殖やし、ローン返済後も節約した分で繰上げ返済するなどの日々の努力が、安心を膨らませていきます。
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