
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
戦後の住まいの歴史は、一貫して核家族化と地域社会の希薄化の方向に進んできました。しかし、高齢者の増加・バブルの崩壊・格差社会の到来などで、再び人と人とのつながりが重視されるようになりました。
実際、バブル期に二世帯住宅が増えたと実感しています。戸建はおろか、マンションも簡単には買えないような不動産価格の高騰で、親の敷地がターゲットにされたというのが本音かもしれません。しかし、そうしてできた二世帯住宅であっても、親子のつながりが大切なことに変わりはなく、核家族以上に豊かな暮らしができたとしたら、すばらしいことだと思います。
◇二世帯住宅のメリット・デメリット
二世帯住宅には、メリットもあれば当然デメリットもあります。いっしょに住むと決めたからには、そのどちらも理解しておかなければなりません。
≪○メリット≫
◆家事の分担ができること
最近は共働きの家庭も増えていますが、小さな子どもの面倒を見られる人が家にいるのは安心です。そうでなくても、やはり親は経験豊富ですから、いざというとき頼りになります。
◆老後の安心感
子どもの世話にはならないつもりでも、やはり家族が多いと安心です。健康状態を把握できる人がそばにいるのは心強いことです。また、小さな孫がいると生活にも張りが出ます。
◆費用に関するもの
世帯分の取得費が比較的安価になります。親が所有する土地に建てれば、土地代も助かります。
◆各家庭の文化の継承がなされる
最近、知識と経験に基づいた“おばあちゃんの知恵”が見直されてきています。その家庭ならではの文化が暮らしの中で受け継がれていくことは、すばらしいメリットです。
また、複数の世代がいっしょに暮らすことでさまざまなマナーが身に付くため、子供の情操教育に良いという点もあります。
≪×デメリット≫
◆世代間の価値観・生活リズムの違い
夜型の若夫婦と早寝の親夫婦では活動時間帯が違うため、ささいなことがトラブルにつながり、互いにストレスが発生してしまいます。生活音などの問題も考慮するべきでしょう。
◆家庭環境の文化の違い
各家庭によって、細かい生活の手順も違うものです。自分の都合を押し通してばかりで、
相手の意見を尊重せずにいると、不和になりがちですので注意が必要です。
◆相続時の問題
自宅が資産の大半を占めることが一般的です。二世帯住宅は、建て方によって登記方法が異なるため、相続時のことも考えて検討しなければなりません。
しかし、上記のメリット・デメリットも実は一定ではありません。働く女性が増えているため、母親が専業主婦とは限りませんし、「生活のリズム」という言葉で思い浮かべるイメージも、元気な高齢者の増加で、実際には逆のことも十分ありえます。
自立した家庭が集まってより楽しく暮らす、万一の場合に何となく安心…程度に考えていくことが、メリットを生かし、デメリットを生じさせないコツだと思います。
◇自分の本音と相手の本音
二世帯のメリットを生かし、デメリットを少なくするにはどのようにしたら良いでしょうか。きれいごとだけでは長続きさせるのは難しいものです。まずは、自分や相手の本音を把握しましょう。そして、自分にも相手にもメリットがあり、楽しく暮らせる方法のあり方を模索します。以前、『最適な住まいの購入計画とは』の回でご紹介した方法が、二世帯住宅の場合にも威力を発揮すると思います。
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【手順】
1.大きめの白い用紙を、夫婦それぞれ二世帯分、4枚用意します。
2.夫婦間で相談することなくそれぞれに、住まいへの希望や夢を思いつくまま書きます。
実現可能かどうかは考えずに、できるだけ本音を書き連ねます。
3.日を置いてときどき眺めます。毎日でも、何度眺めても大丈夫です。
4.新しい希望が思いついたら追加し、気が変わったら消してしまってもかまいません。
5.十分に自分の意見だと納得するものになったら、まずは夫婦間で見せ合います。
2つはかなり違ったものだと思いますので、夫婦の住まいとして話し合います。
6.同様に3と4の工程を経て、夫婦としての意見を1枚にまとめます。
この段階で相当良い住まいを手に入れる下地ができたと思います。
7.最後に2組の夫婦の意見を見せ合って、同じ作業を繰り返します。
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上の図は二世帯用の書き込みではありませんが、こんな風に自分自身の本音を引き出し、相手の本音も受け入れていくと、楽しい二世帯住宅になると思います。
次回は、二世帯住宅の間取りについて考えてみましょう。
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