
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
梅雨から夏にかけて、住まいや暮らしにはいろいろなトラブルが発生しがちです。害虫の発生もその1つでしょう。1960年代に多く発生した日本脳炎は、蚊が媒介すると言われていましたし、最近ではダニをアレルゲンとしたアレルギー患者も多く、害虫対策はおろそかにできない重要な問題なのです。
第1回は住まいづくりの上での害虫対策、第2回は暮らしの上での害虫対策についてまとめてみます。
◆害虫の種類と傾向
害虫は、住まいや暮らしにいろいろな問題を引き起こします。身近なところでは、蚊やハエ、ゴキブリやダニ、シロアリなどが代表的な害虫です。多くの害虫は熱帯地方が主な生息地ですが、地球環境の温暖化により、日本においても被害が拡大しつつあるのです。
たとえば、家に被害を与える害虫、「イエシロアリ」。日本中部以南の海岸沿いに生息しますが、この生息境界線が次第に北上していると言われています。これは、蚊など他の昆虫にも同様の傾向があります。
住まいは100年も持つものですので、このような傾向を見越して対策を考える必要があります。シロアリについては、また別の機会に詳しくまとめてみたいと思いますが、今回はますます増加するアレルギーに関係するダニへの対策を中心に考えてみたいと思います。
◆住まいの害虫対策
住まいに害虫を寄せ付けないようにするためには、第一にエサとなるものを与えないこと、つまり掃除を徹底することが重要となります。第二に、害虫は湿度を好みますので、換気に注意して室内を適度に乾燥させることが大切です。湿度が50%以下だと、ダニは生きられないそうです。
昔の住まいはすき間風が入りやすく、室内が自然に乾燥していたのですが、最近の住まいは高気密・高断熱で、室内は暖かく湿度があるため、ダニやゴキブリが生息しやすくなっています。設計段階での周到な換気計画が極めて重要となります。
<全体計画>
高気密住宅には、24時間適切な量の空気を取り込む換気計画が必須です。換気システムには、換気扇と給気口の簡単な仕組みから、ダクトでつなぐ大がかりなものまでさまざまな方法があります。下図の仕組みは、換気扇をトイレや廊下に設置して、汚れた空気を排気し、その力で換気口より自然に新鮮な空気を取り込むものです。
部屋のドアにはアンダーカットがされていて、ドアの下を通って、室内の汚れた空気を、人がいない廊下やトイレなどに誘導し排出します。乾燥が重要なクロゼットや納戸にも換気扇をつけると有効です。衣類の防虫剤などを使用する場合は、揮発物質が室内に取り込まれるのも防ぎます。
床下の換気も重要です。最近は、ソーラーで動かす換気扇もあります。床下に建築資材が残っていると、それが害虫のエサになってしまいますので、床をふさぐ前にきれいに清掃してもらいましょう。乾燥剤を一面に敷くなど、シロアリ対策を万全にするとそのほかの害虫にも有効です。
<収納の対策>
上記の工夫のほかに、押入やクロゼットの壁にスノコを設置すると、空気が循環します。最近の押入などは、中棚の奥は空気が循環できるようにスリットが開いています。新築であれば、わざわざスノコをあとで追加しなくても済むように、あらかじめ押入全体に空気がめぐるように設計しておくと良いでしょう。
<給排気口のフィルターまたはネット対策>
最近は花粉症対策として、給気口や換気口に花粉フィルターを取り付けられるものもあります。害虫予防にもなるでしょう。
<網戸のすき間対策>
網戸などには、サッシなどとのすき間から害虫が侵入するのを防ぐために、フィラー(充填剤)のようなものがついています。ゴム製や、ブラシ状のものなどがありますが、古くなるとこれらが脱落してしまい、すき間ができて網戸の効果は半減してしまいます。建築資材にはかなりの優れものがありますが、市販のすき間テープなどもとても便利です。
住まいの害虫対策は、以前まとめた『住まいの梅雨対策』と共通するところが多いので、あわせて参考にして、カビやダニの発生を少なくする上手な住まいづくりを心がけてください。
梅雨は気候の変化が大きく、人間にとっても体調を崩しやすい時期です。この時期と害虫の発生時期が重なると、健康に大きなダメージを与えるきっかけとなりかねません。
日々の生活の管理もとても大切ですので、次回もぜひ、ご参照ください。
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