MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。 CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。

『音楽を楽しむ住まい-2』 音楽部屋の防音対策[question]

音楽室を作る目的が決まったら、スペースや費用などさまざまな面から、最適な防音対策を考えましょう。また防音対策だけでなく、時間帯やご近所の状況(受験生がいるなど)にも十分に配慮することが必要です。

思いきり練習したい場合は、自宅の防音工事は簡易なものに留めておき、レンタルスタジオやレッスンルームを借りる方法など、幅広く考えるとまた違った新たな楽しみを発見できるかもしれません。

音楽部屋の防音対策


◆防音対策

<簡易対策(ピアノ)>
アップライトピアノの背面に設置できる、専用の吸音パネルなども便利です。ピアノの音自体を減音させるものや、ピアノの足元に遮音シートを敷いて振動を少なくする方法などがあります。

<簡易対策(建物)>
大がかりな改修工事は行わず、開口部など遮音性能の弱い箇所を二重サッシや防音ドアなどにすることで、建物全体の遮音性能を高めることができます。

<防音工事>
建物の壁や床、天井の開口部などを改修したり、新築時の設計で、防音効果の高い仕様にしたりする方法があります。下記の「防音工事の仕様」をご参照ください。

<ユニット・カプセルタイプ>
建物に防音工事を施す代わりに、部屋の中に専用の組み立て式の部屋を作るタイプです。楽器メーカー等では、いろいろなサイズの防音ユニットや防音カプセルを発売しています。

<離れタイプ>
庭などの空いたスペースに離れを作り、音楽室として活用する方法です。既製品もありますが、好みの材質や形で、オリジナルのものを設計することもできます。


◆防音リフォーム工事

遮音性能は、「D値」という数値で表します。数値が高い方が、遮音性能が高いということになります。ビアノ室は最低でもD-40、本格的なものではD-45は必要です。
プライベートスタジオにはD-45、大音量もカバーするにはD-70というようにレベルアップします。それによって仕上げは全く異なります。

<床の対策>
床の対策の基本は、制振です。また、楽器も含めて重量が重くなりますので、荷重の検討も必要です。床全体に遮音シートを敷くのが一般的ですが、“根太(ねだ)”という、床を支える部材に振動が伝わるのを防ぐには、専用のゴムマットを敷くとよいでしょう。

床の構造体がコンクリートの場合は、制振ゴムが組み込まれた支持金具があります。さらに、ゴム付きのフローリング材やフェルトを敷き詰めた上にカーペットを敷くと、消音効果や制振効果がより高くなります。床下には断熱材を入れます。

<壁の対策>
壁の中に断熱材を入れて、床と同様に遮音シートを張った上に石膏ボードを二重貼りにするか、グレードによっては専用の防音室用の材料を使用します。壁は遮音だけではなく、音響効果への配慮も必要です。

<天井の対策>
天井も壁と同様、断熱材と遮音シートの上に、グレードに応じた仕上げ材を貼ります。音響効果もあわせて考えましょう。構造体へ振動が伝達するのを防ぐことが重要で、天井を吊る金具に防振ハンガーを使用します。

<開口部の対策(サッシ)>
窓に防音対策をする場合、特殊なガラスを入れる方法もありますが、二重サッシにするのがより簡単で効果的です。また、防音効果が施された換気扇や換気口もありますし、専用のカバーなどをつけてもよいでしょう。
室内のドアも、防音仕様のものがあり、ドア自体の重量やパッキン、レバーハンドルなどに工夫がされています。

音楽部屋の防音対策


◆音楽を“騒音”にしない工夫

「住まいは都心の住宅密集地にあるけれど、たまには仲間と楽器を持ち寄って演奏を楽しみたい…」という場合を考えてみましょう。
普段はさほど頻繁に楽器を演奏するわけではないならば、費用的にも本格的な防音室はもったいないと考えるかもしれませんし、スペースなどの物理的問題もあるかもしれません。

自宅は簡易な防音室として、音楽を楽しむときにはスタジオを借りる、気兼ねなく音を出せる場所に拠点を確保する…など、方法はいろいろと考えられますが、地域の住民を巻き込む方法などもあるのではないかと思います。

それは、隣家の人々を、観客や何らかの楽器を担当するメンバーとして組み込んでしまう手です。
沖縄では住宅地を歩いていると、どこかしこから三線(さんしん)の音が聞こえてきます。何人かが集まれば、いつのまにか演奏会が始まります。それをうるさいと感じる人はいないのだと思います。

音楽を“騒音”にしない工夫も考えてみると、よりよい暮らしに近づきそうな気がします。

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