
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
都市部の住宅では、玄関回りのスペースを広く取ることは難しいのが現実です。それに加えて、靴や傘など、常に置いてあるものや、玄関に収納しておくと便利なものがあふれ、雑多なスペースになってしまいがちです。
できれば壁全面を収納スペースにしてしまいたいくらいですが、花を生けたり、小物を置いたりするスペースも設けたいものです。一部をカウンターと天袋に分けて、中間部分に空きスペースを確保しているつくりのものは、よく見かけるスタイルです。
今回は、狭くても機能的で、玄関としての格調が感じられるインテリアについて考えていきましょう。
◆明るさの工夫
<自然光を活用>
玄関の明るさは、その住まいの第一印象を左右する重要なポイントです。できれば玄関スペースにも自然光を取り入れられるように工夫したいものです。可能であれば、スリット程度のものでも良いので、窓を取り付けましょう。玄関とリビングとの間の壁に、スリット窓を取り付けても良いでしょう。
窓を設けたり、ドアにガラスを入れたりする場合は、防犯面の配慮もあわせて考えましょう。ガラスを割ってカギを操作されないよう、注意が必要です。
型ガラスやすりガラス、フィルムなどで工夫すれば、プライバシーも守れます。玄関ドアにデザインガラスが使われているものでも良いでしょう。また、階段部分や吹き抜けなどを通じて、2階の窓や天窓から光を落とす方法もあります。
<色合いの工夫>
全体の色調を、白に近い淡い色の同色で統一すると、開放感が生まれ広く感じられます。
◆広さを感じさせる工夫
<材質と色調統一>
材質のタタキ部分はタイル、玄関ホールはフローリング…というように、床の色調や材質が上り框(あがりかまち)で分断されてしまうと、狭く感じます。材質の統一が難しければ、色調を合わせるだけでも印象はがらりと変わります。
また、段差は少ない方が一体感を感じられます。バリアフリーの観点からも、ポーチ部分を工夫して、上り框の段差を少なくすると良いでしょう。外のアプローチ・ポーチと玄関タタキの材質を合わせると、玄関ドアを開けたときに広がりを感じる空間になります。
<外との連携>
せっかく採光のためのサッシを取り付けたのであれば、その外の空間の演出を内部のインテリアと関連づけると奥行きが出ます。単に隣の家の外壁が見えているだけでは、つまらない空間になってしまいます。
植栽を工夫したり、タタキの床と同じものを敷き詰めたりして一体感を演出すると、心理的な広がり感が得られます。
◆季節感の演出
玄関はたくさんの人が訪れる場所ですから、インテリアにもこだわって、うまく季節感を演出したいものです。
<ポーチの演出>
室内に十分なスペースがなければ、ポーチに水盤(底が浅く平らな花器)を置いたり、趣のある鉢に季節の花々を寄せ植えしたりと、外の空間でうまく雰囲気づくりをすると良いでしょう。
<外との連携その2>
明るさや広さの演出のためのほかに、サッシまわりは有効に活用したいものです。
地窓(床面に接して設ける窓)の場合は、窓の外に水盤をおいたり玉石を敷き詰めたりして、外部の風景をうまく室内に取り込むと雰囲気のある演出ができます。狭いスペースなので、サッシはスリット窓のような縦長か、地窓のように横長の、シャープでスタイリッシュなデザインのものが適しています。
<壁掛け式にする>
季節感のある絵や一輪挿し、ハンギングタイプの鉢など、カウンターがなくても室内の演出はいろいろな方法が考えられます。下記の図は、採光用のサッシ部分に小さな棚を作った例です。奥行きの浅い半円形のものであれば、通行の邪魔にもなりません。窓の外にも演出を施したいところですが、難しい場合は、和紙などでできたロールスクリーンで遮断しても良いでしょう。
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