
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
毎年発表される「税制改正大綱」の内容は、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼす場合があります。
住まいの取得を考えている場合は特に、住宅関連の特例をしっかりとチェックしておきましょう。
◆「税制改正大綱」とは
翌年度の税制改正の原案として、財務省では年度当初から、翌年度の税制改正の作業が進められます。そして毎年12月頃に「税制改正大綱」を発表します。
昨年は、総理大臣の諮問機関である「政府税制調査会」が10月に総会を開き、集中検討に入りました。
各界からは、「法人税減税」や「特例となっている各種減税の期間延長」など、税制改正に関する要望が寄せられました。要望書として、Webサイトなどで掲示されているものもあります。
そして、2月頃に国会で「税制改正法案」として審議されます。
◆平成23年度の税制改正大綱の趣旨
「少子高齢化」や「グローバル化」、「環境問題」や「資源問題」など、私たちが直面している課題はたくさんあります。しかし、中でも“税収力の回復”は緊急の課題として位置づけられています。
<平成23年度の税制改正大綱の4つの柱>
1.デフレ脱却と雇用のための経済活性化
2.格差社会とその固定化の是正
3.納税者・生活者の視点からの改革
4.地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制改革
◆平成23年度税制改正大綱の概要
平成23年度の税制改正大綱の中で、私たち個人に関する主な項目は、個人所得課税に関するものと資産課税に関するものがあります。
<1.個人所得課税>
◇高額所得に対する給与所得控除の上限設定
◇高額な法人役員の給与にかかる給与所得控除の縮減
◇勤続5年以下の法人役員の退職金の1/2課税の廃止、退職所得にかかる個人住民税の税額控除の廃止
◇成年扶養控除を縮減
(障害者・要介護者その他心身の状態で就労困難な扶養家族・学生・65歳以上の高齢者を除く)
◇年金所得者の申告手続き負担の軽減
◇上場株式の配当・譲渡所得にかかる10%軽減税率の2年延長
<2.資産課税>
※下記の項目をご参照ください。
◆資産課税
昨年の税制改正では、小規模宅地の特例範囲が大幅に縮小されました。
今年の大きな改正点は、相続税の課税拡大です。
<1.相続税>
◇基礎控除額の引き下げ
◇最高税率の引き上げ
◇死亡保険金にかかる非課税枠の縮小
◇未成年控除、障害者控除の引き上げ
<2.贈与税>
◇暦年課税について、直系尊属から20歳以上の受贈者への税率構造を緩和
◇相続時精算課税制度の要件緩和
今まで日本人で相続税を支払うケースは5%程度と言われていましたが、今回の税制改正にともなって、その割合はかなり増加することが見込まれます。親から住まいを相続したり贈与を受けたりする場合、またその逆で子どもに相続する場合など、今回の改正が大きく関わってきます。
生前贈与を検討したり、節税対策を考えたりする必要も出てくるでしょう。
次回は、相続税や贈与税の改正予定事項を、よりくわしくご説明していきます。
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