
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
日本人のお風呂好きは世界も認めるところだと思います。先日もテレビで、「日本式の肩まで浸かれる深さの浴槽が、世界各地の高級ホテルで採用されている」という話が報じられていました。江戸時代から、比較的貧しい住民の日常生活にも、当たり前のように銭湯が組みこまれていました。幕末に来日した西洋人は、日本人が清潔好きなことに大変驚いた、という記録を残しています。戦後には、来日するビジネスマン向けのマニュアルに、「日本人は毎日入浴するのが当たり前なので、週に2度とか1度と言ったら、白い目で見られるので要注意」とあったと、どこかで読んだように思います。
お風呂好きの日本人なら、せっかく新築するのであれば浴室にもいろいろこだわりたいですね。
◆工法の違い
在来工法(湿式工法)…
自由なサイズの浴室や浴槽ができ、仕上げも自在なのが在来工法です。「窓を大きくとって半戸外の雰囲気を味わいたい」、「家でリゾート感覚を味わいたい」などのこだわりを実現するには最適です。コンクリート造や木造など、建物の構造や工法にかかわらず、躯体の下地に防水工事を施して、石やタイルなどの仕上げ材を張る方法です。既製品のバスタブを置く場合もありますが、木製の湯船やタイルや石張りの浴槽にする場合など様々です。しかし、防水設計や結露対策、天井からの水滴の防止など設計ノウハウも必要で、維持管理もユニットバスより手間がかかる、というデメリットもあります。
ユニットバス(乾式工法)…
工場であらかじめ床・浴槽・壁・天井などを成型しておき、現場で組み立てるタイプのもの。水を含む材料を使用せず、乾燥待ちの必要がないため、短期間で仕上がるのが特徴です。大型のものや、床や壁がタイル張りになったタイプもあり、通常サイズの浴室であればデザイン面、機能面ともに納得のいくものが見つかるでしょう。6面が全てユニットになっているタイプの他に、ハーフサイズのタイプもあります。ハーフサイズは、腰から上の部分の構造や仕上げは、自由に選ぶことが可能です。2面以上窓をとり付ければ半戸外の雰囲気を味わえますし、脱衣室との間仕切りをつけなければ、広々とした空間づくりが可能です。また、床と腰壁部分は一体型ユニットなので、最もトラブルが発生しやすい箇所の防水性能は確保できます。

◆浴室とバスタブのサイズと材質の選び方
浴室サイズ…
最近はマンションでもバルコニーなどに面して浴室を配置するケースも見られます。限られたスペースで何を重視するかは、住み手の考え方次第です。一坪よりも大きいサイズのユニットバスもありますが、狭くても見晴らしがよかったり、中庭に面していたりと、付加価値で快適感を表現する方法もあります。
バスタブ…
バスタブの材質で多く使われているのはFRPという、繊維強化プラスチック材です。その他に、ホーローや人工大理石、ステンレス、木製、タイルや石張りなどいろいろあり、それぞれ一長一短です。また同じ素材でもメーカーや価格等によっては品質に差が出ます。また、形式も「和式」、「洋式」、「和洋折衷式」、「円形や腰掛け付きなどの特殊形状」などがあります。和式は深さがあり、狭い浴室に適しています。現在は、座って肩まで浸かれて足も伸ばせる「和洋折衷式」が最も多く使われています。お湯が冷めない高断熱浴槽もありますので、家族で入力時間がまちまちな場合に威力を発揮します。
仕上げ材の選択…
床や壁、天井の仕上げ材選びには、色や素材の好みだけでなく、手入れのしやすいものや、滑りにくいものなどの機能面も重要です。在来工法の場合は特に、その点への配慮が重要です。
扉…
扉には引き戸、折れ戸、開き戸などがありますが、室内のスペースを有効に活用できる引き戸がおすすめです。バリアフリーに対応した「3枚引き戸」というものもあります。丁寧に使えばユニットバスは長持ちします。後々のことも考えて、扉周りはバリアフリーにするとよいでしょう。
◆いろいろな浴室の機能
浴室乾燥機…
浴室乾燥機は、あればとても便利な機能です。洗濯物の乾燥だけでなく、浴室の乾燥、暖房なども可能で、ミストサウナなどの機能があるものもあります。
多機能シャワー…
使う人の背丈に合わせてスライドできるシャワーバーが便利です。また、体を囲むように水が出るボディシャワーや打たせ湯機能が付いたものなど、いろいろな種類があります。バスタイムを楽しくする上で、シャワー選びも大事なポイントのひとつです。
床暖房…
浴室に入ったときに最初に肌に触れる床があたたかいことで、気持ちよく入浴できます。急激な温度変化によるヒートショックを防ぐためにも、ぜひ検討したい機能です。
ジェットバス…
疲れをとるのによい、という愛好家も少なくありません。以前は高価なイメージがありましたが、現在は安価なものも出ているようです。ただ、子供が事故にあうケースもいくつか報告されていますので、導入前によく検討することが必要でしょう。
◆バスタイムを楽しむ工夫
スペースや予算が限られていても、工夫次第ではバスタイムをより楽しくできます。
脱衣室にストレッチスペース…
忘れがちですが、バスタイムを楽しむには脱衣室のデザインも重要です。浴室が広くても脱衣室が乱雑になっていては台無しです。お風呂の残り湯を利用しようと思うと、脱衣室に洗濯機を置きたいところですが、それが全体の大半のスペースを占めていたのでは、リラックスの妨げになりがちです。脱衣室を広めにとって、下着やリネンなどをしまえる充分な収納、一息つける椅子などのスペースがとれると快適です。簡単なストレッチができるバーなどがあると、ひと汗かいてもすぐにお風呂に入ることができます。懸垂や腹筋などにも対応できるよう、いろいろな高さのバーをとり付けるとよいでしょう。タオルかけにも応用できます。
バスコート(浴室につながる中庭)…
窓の位置と外部スペースを工夫して浴室専用の庭を設置すれば、ぐっと開放感が増します。バスコートにサニタリーを隣接させて、洗濯スペースとしても活用できます。
様々なグッズ…
小さなお子さんがいる家庭ではお風呂用のおもちゃが必需品ですが、大人がバスタイムを楽しむためのアイテムもいろいろあります。浴槽に浮かべるライトやプラネタリウムは、癒し効果抜群です。バス用テレビや防水スピーカーも活躍しますね。ご自身が楽しめるものを見つけてみてください。
季節湯…
代表的なものは5月の菖蒲湯ですが、ユズやヨモギなど、昔から季節に応じた入浴方法が楽しまれてきました。
日本人は、お風呂の時間を快適にすることには実に貪欲です。第2のリビングとして長時間過ごす人もいるほど、日常生活に欠かせないものなのです。浴室づくりの際は、庭などの外部空間や脱衣室も含めて考えると、快適度が格段に増すと思います。ユニットバスを利用する場合、特別なものでない限りスペースが限定されてしまいますが、脱衣室などを工夫すれば、開放的な浴室が期待できそうです。
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.interblog.jp/bizmt/mt-tb.cgi/886