MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

佐藤 章子(さとう あきこ):
コンサルタントオフィス ハウステージ 代表。 CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。

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『2017年不動産トレンドは?-1』 2016年を振り返って[question]

不動産市場の動向は、社会全体の状況に密接に連動しています。住まいの取得を考えている時には気になる動向ですね。住まいは一生もの。この先長く資産価値を維持していかなければなりません。直近の動向よりも長い目で見て、なぜ今この不動産状況にあるのか、そしてそれは今後どのようにつながっていくかを見極めたいものです。

◆不動産の大きな流れ
不動産分析というと、直近の地価の動向や社会の変化などから分析することが多いと思います。しかし、それでは本質を見失いかねません。不動産業界に直接かかわる人であればそれも必要ですが、私たちが必要とするのは、もっと大きな流れから今に至る要因を把握することなのです。

戦後の流れ…
第二次大戦後、日本人はたくましく復興に邁進してきました。その後の高度成長期には、多くの若者が地方から都市部へと移動してきました。私が新卒で建設会社に入社した時は、周囲の設計部の同僚を見渡して、両親が東京在住のケースはごくわずかで、ほとんどが地方出身者でした。多くは東京の大学へ進学し、そのまま東京の会社に入社し、そのまま東京の住人で生涯を過ごすことになります。子どもは当然東京生まれで、孫も東京であれば田舎に帰る意味がなくなります。

高度成長期と若者の移動…
そうした大都市への人口流入に伴い、必要となるのは住む場所です。多くの単身者用アパートが建てられました。今のようにいたれりつくせりのアパートではありません。木造、バスなし、トイレ共用、4.5畳に小さな流し台が室内にあるのが当時の標準的スタイルだったと思います。今では考えられない環境ですが、それが当たり前でした。結婚すれば、当初は1DK程度のアパートに住むことになります。子どもが生まれれば、やがて自分のマンション購入となります。次第に安価な土地を求めて郊外の住宅地が開発され、通勤圏は遠のきました。戸建て住宅の敷地は細分化される一方で、安価で小さな敷地の需要が増し、また土地の所有者も相続税の支払いや売却資金を求めて自らの土地を細分化していきました。

若者の意識…
当時の地方出身者の考えは、「東京は住むところではない、働くところ」「故郷は美しく残していきたい。東京は汚れて行っても仕方がない」といったようなもので、実際にそのままの言葉を多くの地方出身者から聞きました。このことが、現在の不動産状況を生み出したといえます。

細分化された土地の行方…
高度成長期に広がった通勤時間の遠い郊外のマンション、劣悪なアパート、細分化された極小住宅などが、今の低成長時代の負の遺産として残されてしまったのです。政府は空き家対策に乗り出しつつありますが、戦後の都市部一極集中の大きなエネルギーの結果である現状に対処するのはほとんど困難です。それぞれの所有者は、自分たちで解決するしかありません。いわば自業自得で、いったん細分化した土地を元に戻すのは特別なケースを除いて不可能です。バブル期のように地上げ屋が自由にのさばってしまうのも困ります。

『2017年不動産トレンドは?-1』 2016年を振り返って


◆キーワードから振り返る2016年の不動産動向

戦後の大きな流れをベースに、今話題になっているキーワードについて、私なりの意見をお話します。

企業の業績回復…
日本の企業は実に多種多様です。数百年の老舗もあれば、世界的に誰も真似のできない製品を零細な町工場が生み出していることも話題にあがりますね。日本の住宅産業には家電系、建材系、ゼネコン系、地場産業系、設計事務所系など多様なメーカーがあります。多様であることは大きな強みです。その強みの裾野まで浸透したら、景気回復も徐々に確固たるものになっていくのではないでしょうか。

観光客の増加…観光客が増加すれば、当然リピーターも増え、ありきたりでないスポットが興味の対象となります。観光客の増加そのものも、これからの日本の経済において重要なポイントですが、観光客が教えてくれる意外な日本の魅力やスポット、地域などは、上手に活用できれば経済活性化の大きな力となりそうです。しかし、地方活性化の取り組みはどれも、観光客や移住してくる人々の視点が欠落しているように感じます。

空き家対策…負の遺産である空き家対策には、立地条件にもよりますが、民泊が最も効果的ではないかと思います。地域の空き家の所有者や自宅に余分の部屋がある人たちが共同でグループを作り、観光客を誘致しているケースなどは、もっと広がると良いと思います。祭りの参加など体験型観光への工夫など取り組む余地は多くあると思います。


不動産トレンドも大きな流れの上で見ると、また違った側面が見えてきて面白いと思います。みなさまも大きな流れを見渡した上で、独自の私見を加えてみてください。

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