MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

佐藤 章子(さとう あきこ):
コンサルタントオフィス ハウステージ 代表。 CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。

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『空き家問題-1』 空き家を所有するリスクとその対策[question]

これまでは、空き家問題といえば「過疎地」の問題でした。しかし最近は、都市部でも空き家が問題になりつつあります。空き家問題は少子化が要因と思われがちですが、単純に少子化だけではなく、その前に明確な要因があります。その要因を理解しなければ解決策にたどり着けません。

◆なぜ空き家が発生したのか

戦後都市部、特に首都圏への一極集中が進みました。当時の若者を振り返ってみれば、90%以上は地方出身者だったと思います。親は自分たちの地域の活性化ができず、子どもたちは故郷を見捨てて都市部へと流れ込みました。その結果、まず農村部や地方の町などに空き家が発生しました。

都市部に流入した若者もやがて住まいが欲しくなります。地価は高騰する一方でしたので、都心部から遠い郊外の土地や、駅から遠い極小の土地・建物が、一般のサラリーマンの購入の対象となりました。まとまった規模の敷地が細分化されていったのです。

当時の地方出身者の意識は、「東京は働くところ、住むところではない」といったものでした。金銭的問題以外にも質の良い環境を作り出そうとする意識などさらさらなかったのです。

やがて時代が進むと少子化も進み、住まいが余りはじめました。それでも良い環境にある良い住まいは決して空き家などにはなりません。昔の若者は風呂なしのアパートや間借りが普通でしたが、今はバストイレ別でないと人気がなく、浴室乾燥機やその他の贅沢な設備がある部屋が普通になりつつあります。

贅沢に慣れた世代が、親の世代のとりあえずの住まいを避けるのは当然の現象でしょう。またグローバル化の時代に、通勤時間が長い住まいよりは、便利なマンション暮らしなどのほうがメリットはあると思うのは当然です。

そうして都市部の空き家問題が顕在化していきました。少子化・過疎化のいずれもが、戦後の大きな人口流入の結果であり、その一部を担った私たちの問題なのです。親の代の反省に基づいて、今度こそ、住環境の向上のためにも空き家問題に取り組まなければなりません。

『空き家問題-1』 空き家を所有するリスクとその対策

◆空き家は何が問題なのか

環境の悪化…
空き家を放置すると、一目でそれが空き家だとわかるほど劣化していきます。周辺が良好な環境だったとしても、ひとつの空き家があるだけで存在台無しになってしまいます。良好な住宅地とは、そこに住まうひとりひとりの心構えで作り上げていくものなのです。

生命・身体へ危害を及ぼす恐れ…
子どもは廃墟のような空き家が大好きです。建物はパッと見わからなくとも、一か所でも損傷すると突然崩壊することもあるため、子どもの遊び場などになっては非常に危険です。また、地震などで真っ先に倒壊するため、周辺住民の生命を危険にさらすことになりかねません。

治安の悪化…
不法投棄や不法侵入を招く要因になり、周辺地域全体の治安が悪くなります。例えば駅に近いマンションなどでも、毎日のように空き缶やたばこのケースが投げ捨てられ、すぐに取り除かないと、次々に同じ投棄を招き、次第に環境が悪くなっていくものです。日々のこまめな管理が大切です。

経済的損失…
狭い国土の日本は、それでなくても土地を有効に活用しなければなりません。森林の保全は資源を守り、林業、農業、漁業にも重要な存在となります。そのため、残されたわずかな平野部の有効活用は国としても重要な問題なのです。また個人としても資産の不活性化は損失であり、また放置すれば負の資産となりかねません。

◆個人にとっての空き家問題

建物の老朽化の進行…
空き家は放置すればするほど急速に痛むため、貸すことも売ることもできなくなります。また、利用するにしても時間が経つほどに補修費が必要になります。早めの対策が重要となります。

法律に抵触する可能性…
平成26年11月27日に交付された「空家など対策の推進に関する特別措置法」という空き家対策の法律により、「特定空家」に指定されると、固定資産税などの優遇措置が受けられなくなることあるので注意が必要です。

資産の不活性化…
資産は活用するものであり、放置すると資産価値も目減りします。やがて「負の資産」にならないとも限りません。

防犯上の損害…
建物に侵入されたり、廃棄物を不法投棄されたりする可能性があります。あとから処分費が相当かかる事態も予想できます。

個人賠償の問題…
塀や屋根瓦などは、敷地内に入らなくても倒壊や落下で通行人に危害を与える可能性があります。維持管理の放棄と見なされれば、損害賠償を求められることも考えられます。

空き家問題について、少しご理解いただけたでしょうか。
次回は、「空家など対策の推進に関する特別措置法」と、個人でできる空き家対策を考えてみたいと思います。

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