MODERN Club/不動産よくある質問Q&A

佐藤 章子(さとう あきこ):
コンサルタントオフィス ハウステージ 代表。 CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。

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『ライフプランから見た長期優良住宅-2』 ライフプランと長期優良住宅[question]

長期優良住宅は、私たちのライフプランの上でどのような影響があるのでしょうか。性能が良い分価格が高く、むしろ負担が多いと思っていませんか?しかし、今までの「とりあえずの住まい」は、当初の建設費は抑えられても維持管理にお金がかかり、設備の旧式化や維持管理の質の悪さなどから短命に終わったため、早々に建て替えられてきたのです。高度成長期であれば、それでも負担できたのかもしれませんが、これからはそうした時代ではありません。

◆次世代の子どもたちへ

戦後の日本人は、世代ごとに住まいを取得するのが普通でした。それどころか、比較的早い時期に住まいを取得した場合は、自分たちの世代で建て替えすることも普通でした。少し前の日本の木造住宅の耐用年数はおよそ25年であったので、それも当然かもしれません。

一方、ヨーロッパの石造りの住宅の場合は、数百年使い続けられていました。内装の手入れは必要ですが、それも自分たちで行う割合が多かったのではと思います。同じ木造住宅中心のアメリカでさえ、耐用年数が75年程度でした。ということは、1世代は使い続けられたのです。

グローバル化がますます進むこれからの時代、次世代の日本の子どもたちは、世界の子どもたちが競争相手です。そうした中で日本の子どもたちだけが、莫大な投資をして住まいを取得しなければならないのは著しく不利と言わざるを得ません。

◆現在の日本住宅の性能

現在の日本住宅の性能は、例えば住宅展示場に出店しているメーカーのレベルでいえば、建物本体の性能としては、そのままでも長期優良住宅の性能に達していると言ってもいいでしょう。基礎や地盤改良は現地の状況に合わせますので、その性能が長期優良住宅の基準を満たすものにすればいいだけです。

住宅の構造は木造もあれば、鉄筋造や鉄筋コンクリート造の住宅もあります。しかしどれも基礎は鉄筋コンクリートで作られます。鉄筋コンクリートの耐用年数は、中の鉄筋を覆うコンクリートの厚みで決まります。コンクリートは元来アルカリ性のために鉄筋がさびずに保たれます。しかし、コンクリートの表面は外気の影響により、次第に中性化していくのです。その中性化が鉄筋まで到達すると、鉄筋がさびて膨張し、コンクリートを破壊します。そのためにコンクリートの厚みを長期優良住宅の基準に合わせればいいことになります。

したがって、長期優良住宅を建設するコストは、通常の住宅とさほど変わらないのではと考えています。問題は建物の性能ではなく、住み手の維持管理の問題なのです。下記の図の青色の線は、ほとんど維持管理をしないケースの耐用年数です。こまめに維持管理やリフォームなどを繰り返すと、使い勝手も改善し、使用期間も長くなり、格段に耐用年数が伸びていきます。維持管理やリフォームの費用は必要ですが、建て替えるよりは、1年あたりの総出費は少なくなります。

ライフプランから見た長期優良住宅-2

◆長期優良住宅と生涯収支
長期優良住宅を建てるためのコストは、現在の住宅メーカーの性能を基準にすると、さほどの違いはないように見えます。しかし、何代にも渡って住み続けられるとしたら、全体としてのコストは著しく低くなり、これからの厳しい社会を生きている子ども世代の負担を軽減できるのではないでしょうか。資源の無駄使いもなくなり、しかも200年間ということは、次の木が生育するに充分な時間です。

ライフプランから見た長期優良住宅-2

これからの時代の住宅は、単に長持ちするだけでなく、スケルトン(柱などの構造躯体)とインフィル(内装・設備など)が明確に分かれて、住み手が自らで容易に維持管理ができるスタイルであることが必要です。自分たちでできることを工務店に発注するのはもったいないと思います。欧米の子どもたち同様、小さい時から住まいのリフォームの技術になれることが、長く快適に暮らすために大切なのではないでしょうか。この機会にぜひ、考えてみてください。

ライフプランから見た長期優良住宅-2

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