
佐藤 章子(さとう あきこ):
ハウステージ有限会社代表。
CFPと一級建築士の資格を生かして住まいと暮らしのコンサルタントとして活躍中。
浴室は体を清潔に保つための場所であり、日本人にとっては心のリフレッシュの場所でもあります。そのような場所は、健康面や精神面を考慮し、いつも清潔に保っておきたいものですね。
以前、公団タイプの分譲マンションを調査したことがあります。全て同じ間取りですので、入居者による維持管理の状況が、そのまま室内の環境の差になって現れます。特に水周りは、想像していた以上に差が表れており、大変驚いた経験があります。
◆建物の寿命に大きく影響する水周りの維持管理
浴室などの水周りの適切な管理は、建物そのものの寿命に大きく影響します。実際に、維持管理が悪い場合は、浴室やキッチンなどの水周りから老朽化が進む例がほとんどです。ダニやシロアリなどが繁殖する条件もカビとほぼ同様で、温度・湿度・栄養が基本条件です。建物の強度を維持し、住まいを安全で快適なものにするために、水周りの維持管理は特に重要です。
◆汚れの原因
一言で「汚れ」と言っても、様々な種類の汚れがあります。原因をよく把握し、日々対処することで、汚れを格段に少なくすることができます。
水アカ…水道水に含まれるケイ酸が蓄積されるものです。放置すると白く石のように固まり、取り除くのは困難になりますので、日々の手入れが重要です。
湯アカ…皮膚・石鹸カスのほかに、それらが水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの金属イオンと結びついてできるものです。
カビ…カビは、温度・湿度・栄養の条件が揃えば、どこにでも発生しますが、浴室はその条件が最も整いやすい場所です。
ヌメリ…皮膚などの有機物を栄養にして繁殖する雑菌や酵母などです。
錆(さび)…カミソリなどの鉄製のものを濡れた所に放置したりすると、色が移って取れにくくなる場合があります。
◆手入れの方法
手入れの方法は、上記の汚れの原因を日々取り除くことを主眼にします。浴室を使用した後は、換気をして湿気を速やかに取り除きます。バスタブの残り湯を捨てずに、万一の場合の防災用に翌日まで残しておく家庭もありますが、その場合でも、他の部分はしっかり乾燥させることが大切です。冒頭の調査の中で、きれいな水周りを保っていた家庭は、使用後はすぐに換気して、その後乾いた雑巾で室内を丁寧にぬぐって、手入れしていました。
ユニットバスの場合は、メーカーや機種によって、それぞれ使われている材質などが異なります。バスタブや床面・壁面の仕様により、お手入れ方法が説明書に記載されていますので、その指示に従うのが基本です。
浴室の部位やパーツをリストアップしてみると、いろいろなものが浴室にあり、それぞれ汚れ方が異なることに気付きます。入浴後に浴室全体を掃除するのは大変なので、入浴中に済ませてしまうのが効率的です。せっかくのバスタイムに掃除をするのは抵抗があるかもしれません。しかし、水周りは一旦汚れると、その後の手入れが格段に大変になります。日々のお手入れが、浴室を長く快適に使うコツと言えるでしょう。同時に住まいも長持ちします。自分なりの掃除のタイミングを見つけてみてはいかがでしょうか。